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朝活で花友ができた話

 ここ1週間ほど、朝活ウォーキングの習慣を復活させることに成功した。

 昨日の朝も、いつものコースからちょっと足を伸ばして、ある道を歩いた。

 その道の先には、壁際にずらりと観葉植物、多肉植物やサボテンが並んだ素敵な家があるのだ。

 私はその家の前を通るたびに、珍しいサボテンの花が咲いている様子や多肉植物の立派さに驚いたりするなど、植物ちゃん達をまじまじと観察して楽しんでいた。

 今日はどんなかなと思いながら道を曲がると、その家の前にホースを持ったおばあさんがいた。

 家主さんだ!私はいつも楽しませてもらっているお礼を言うべく声をかけた。

 おばあさんはそれはもう楽しそうに話し始めた。

「若い人で植物好きな人がいるなんてねぇ!」

 並んでいる植物について色々お話を聞く他に、玄関の中の植物まで見せてくれた。

「植物の話ができる人がいて嬉しいわ」

「増えて増えて仕方がないのよね。良かったらもらってちょうだい!」

 草木を育てる人々の宿命である。多肉植物は落ちた葉からも発芽し、元気なサボテンは子がぽこぽこ湧いてくる。人はそれをおいそれと捨てることはできないのだ。

 私は喜んで了承した。株分けなどの作業には時間がかかるので、また後日落ち着いてもらいに来ることになった。

「この花を見るととても元気が出るのよ。育ててみない?」

 おばあさんは、私の身長程まで立派に成長したキダチベゴニアから、ハサミでパチンと2本の枝を切って、私に渡した。ついでに、挿木が成功しやすくなる発根剤まで丁寧にアルミホイルに包んで分けてくれた。

「私たち、花友ね!」

 おばあさんはちょっと嬉しそうにそう言った。

 私たちは電話番号を交換したのち、手を振って挨拶した。

「良い1日を」


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