第30回 山採りビジネス〜雑木を売って里山を守る方法とは?〜

2019.11.08
西山雄太
リビングソイル研究所


概要
 農的ライフスタイルを支えてきた里山は,人々の手が適度に入ることで維持されてきました.しかしライフスタイルの変化とともに,里山に入る機会が少なくなり,多くの里山が荒れています.そこで,里山にある資源を活用し,里山の価値そのものを向上させていく必要があると考えます.今回のるーらんでは,雑木を売って里山を守る方法について考えました。

 話題提供者である西山さんは,未来を,土から考える「リビングソイル研究所」を立ち上げ,庭づくりや土の診断・管理,それらに関するワークショップなどをおこなってこられました.また2019年4月からは,東播磨地域で「山採りの木」に関する調査をおこなっておられます.そんな西山さんに,これまでの活動を紹介してもらったうえで,今後の里山管理のあり方について,参加者のみなさんと話し合いたいと思いました。

*「山採り」とは,山に自生している自然木を掘り起こして他の土地に活着させることです。


庭や街路樹など,街中においても多くの木々がみられます。
それらの木はどこから来てるのでしょうか。
遠く,九州や東北から来ているのがほとんどだそうです。

一方,東播磨近郊の里山に目を向けると,管理されなくなった里山が多くみられます。
しかし,その里山の中には,庭や街路樹としてのニーズが大きい木々も多く存在していると,西山さんは言います。

今回のルーランでは,里山管理の一つの方法として,「山採りビジネス」についての説明がありました。「山採り」とは,山に自生している幼木を掘り起こし,他の土地に活着させることです。

当日のセミナー参加者には,普段から里山管理をされている方や里山に興味がある住民,大学教員・大学生,行政などがみられました。
会場からは,里山に生えてる木々が,植木として活用できることへの驚き・可能性や,西山さんと里山を散策して,色々教えてもらいたいと言った声が聞こえました。

また,質問・回答としては,以下のようなものがありました。
・「目利きが難しそうだがどうすればいいのか」,「目利きができるまでにどれ程時間がかかるのか」→「山採りの木としてニーズがあるのは10〜30種類程度なのでそこまで難しくない(西山さん)」

・「幼木の金額はどれくらいなのか」→「種類や大きさなどでまちまち。数千円のものから数万円のものもある(西山さん)」

・「仮植えは必要か」→「木のコンディションにもよる。そのコンディションを判断する知恵・知識が必要」

 これらの意見を受け,今後はひとまず西山さんと里山を散策するツアーや,山採りの木としてニーズがある幼木を目利きできるツールを作っていこうと考えています。

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