【TABIPPO学生支部 x Rural Labo】 若者が考えるサスティナブルツーリズム
こんにちは。地域活性化コミュニティRural Labo運営の中島菜摘(なっちゃん)です。
2021年10月30日にRural CoffeeにてTABIPPO学生支部とRural Laboのコラボイベントを行いました。
今回のイベントは『若者が考えるサステナブルツーリズム』をテーマにパネルディスカッション形式で行われ、TABIPPO学生支部代表の日賀野舜さんとRural Labo代表の小菅勇太郎が登壇しました。進行はRural Labo副代表の西村が務めました。
イベントで話された内容を簡単にまとめましたので、自分事として捉えつつ、イベントに参加した気分で楽しんで見ていただけたらと思います。
《登壇者プロフィール》
日賀野舜
栃木県、宇都宮市出身。武蔵大学経済学部経済学科3年。 「旅、野球、教育」が3本柱の21歳。大学入学後に世界9カ国へ渡航。フィリピン・セブ島で2週間の教育実習やタイで1週間の一人旅などを経験。帰国後、(株)TABIPPO社内インターンとして、 SNS戦略部門を受け持つ。現在は、TABIPPO学生支部の代表として、全国300人の学生メンバーをまとめる。 自身も参加した海外教育実習プログラムのスタッフや、 (株)Stapia SNS戦略マーケティングスタッフなどを歴任。
小菅勇太郎
慶應義塾大学SFC2年(休学中)。 新潟、広島、神奈川、UAE、マレーシアなど、国内外を転々としながら育つ。 「生き方の選択肢を増やす」ことをミッションに掲げて活動する20歳。 大学入学後すぐに、一緒に地域と関わる仲間を見つけるべくRural Laboを設立。 株式会社ガイアックスのインターンを通してスタートアップ界隈で揉まれたのち、長野県辰野町に二拠点移住して起業。 現在は地域活性化コミュニティ Rural Laboの代表を務めつつ、「行きつけの地方がある生き方」を実現すべく、会員制の古民家秘密基地を立ち上げ中。
① 現在の観光の課題とは?
Q. 地方都市は持続可能ではない・・・?
小菅「観光地ではない地域にフォーカスして話すのですが、行政や地域に関わる方がよく言うのが、現状の観光の在り方では地域にお金が落ちないようになっているということです。大きなリゾートホテルがあったらそこで食事や買い物全てが完結してしまい、そのお金は結局地域の外に出て行ってしまう。つまり観光客が増えても地域が持続的に発展しないという課題があります。」
日賀野「大手旅行代理店が出しているツアーの多くはいいホテルに泊まってすごす内容になっていて、お金は結局そっちに持って行かれて地方にはお金が入らない。本当に地域のためになっているのかという疑問はありますね。旅人としてはそういった視点を持てるかが重要だと思います。」
地域に人が来てもそれが還元されなかったり、次に繋がらないことがある。地域のためだと思って払ったお金も実は地域外に流れてしまっている。
② どうしたら地域にも還元のある観光を作ることができるのか
Q. 観光資源が多くないところにどうやって旅人を呼ぶのか。またどうやって旅人にリピートしてもらうのか
日賀野「観光資源がないというのは、逆に観光資源をどう作るのか、今あるものをどう捉えるのかという風に考えることが大事だと考えています。また地域にそのまちの魅力を発信するため・繋ぐための受け皿があるかというのも重要です。」
小菅「受け皿の存在は本当に重要だと思います。『地域のキーパーソン的な人が外から訪れる人々と関わり、結果その旅人が地域のことを好きになって行動を起こし、まちが変わっていく』という、外の人が段々と中の人になってき、さらに多くの人を地域に巻き込んでいく循環が最も大事だと思っています。僕やRural Laboが取り組んでいるのは*関係人口の創出です。一回きりではなく持続的に地域と関わりを持っていく層を作り出していけるかどうかというのが地域のこれからであり、観光のこれからだと考えています。旅人側も、地域のことを自分事として捉えるようになって、地域に何かしら還元したいなという気持ちを抱くようになることができれば良いなと思っています。」
*移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉
Q. 受け皿がある状態とは・・・?
日賀野「歴史や現状、そして未来を語れる人がいて、それでイベントが組み込まれているとかですかね。その過去がわかるコンテンツがあり、かつ未来はこうしたいっていうアクションを起こそうとしている、もしくは起こしているところはすごくいい受け皿を持っていると思います。」
小菅「辰野の場合の受け皿は、地域の中から地域を盛り上げようとしている人たちだなと思っていて、辰野を訪れる人って全員、辰野で面白い活動をしている人たちを巡らされるんですよね。『あの人に会ってきたらいいよ』って感じで。そのつながりがまた辰野を訪れる理由になっています。」
Q. 受け皿と旅人、それぞれの役割とは
小菅「従来地域づくりに必要と言われてきたのが『風の人』と『土の人』で、『風の人』は一瞬で通り過ぎるけど新しい風を吹かしてくれる旅人。『土の人』はそうやってもらった刺激を地域密着で形にしていく地元の方々。そして新しく言われているのがその間の『水の人』で、これが関係人口になるんですけど、Rural Laboはその水を目指しています。全部の役割が揃って初めて地域は持続可能な形で活性化されると考えています。」
日賀野「旅人はとにかく旅をたくさんして、旅人の友達を増やします。そして、とある別々の地域に行った旅人同士がそれぞれの地域を紹介して気づいたらその両方の地域が盛り上がっている!みたいなことができたらいいのではないですかね。」
いろんなところに行こうっていう移動する時代になっていくからこそ、関係人口っていうのがとてもいい。もちろん『土の人』、つまりその地域に根付いて何かを伝えていく人もいていい。そして旅人のような刺激運びの役割を果たす人がいるのも重要である
まとめ:サステナブルツーリズムのために
① 旅人(風の人)が地域に新しい刺激をもたらし、一部は関係人口(水の人)として地域に定着する
② 関係人口(水の人)がその刺激をアクションに落とし込み、地域に価値を生み出し始める。また、旅人と地元の方々の間をつなぐ役割も担う。
③ 地元の方々(土の人)が、関係人口(水の人)の始めたムーブメントを引き継いで継続させ、まちを発展させていく。そしてさらに旅人(風の人)を呼ぶ。
サステイナブルな地域運営には、この3者全員の存在が必要不可欠。
旅人がいなくても、受け皿がなくても、その中間がいなくても地域は持続できなくなってしまう。
この3者が存在し、お互いに尊重し合い、連携できる流れがある地域において、地域内外が一体となるサステナブルツーリズムが生まれるのではないでしょうか。
これを実現するために必要なのは、旅人は旅をして価値観や情報をかき混ぜ、関係人口は継続的に地域に関わり続け、地元の方々は地域に根を張って活動すること。
つまり、地域に関わる各プレイヤーが、他の役割を担っているプレイヤーのことを気にかけつつも、それぞれの分野で精一杯生きていくことが大事だと言えます。
終わりに
私自身もそうですが、つい観光地と呼ばれている場所に行ってしまいがちな人も多いのではないでしょうか。決してそれが悪いことだと言っているわけではありません。そこから少しだけ足を延ばしてみてはいかがでしょうか。新しい発見や出会いにあふれているかもしれませんね。
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