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「あの頃、文芸坐で」【42】鈴木清順オールナイト①異次元映画入門

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文芸坐とロマンポルノの日々を送っていた私であるが、この当時のそれ以外の映画鑑賞を整理しておくと、4/10にイイノホールで加藤泰監督「炎のごとく」の試写会。4/25に池袋日勝文化で小谷承靖監督「帰ってきた若大将」大森一樹監督「ヒポクラテスたち」の二本立て。そして5/1に小栗康平監督「泥の河」の試写会をサイエンスホールで観ている。まあ、この4月は一ヶ月23本の映画を観ているから、大学二年になったばかりで、工学部の勉強などしていたわけもない。確実に映画館が大学だったのだ。

そして、ゴールデンウィーク5/2の夜から6週間、日本映画監督大事典「鈴木清順」に通い、この異質の映画に触れたわけである。

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まず、コラム。ドストエフスキーの没後100年ということもあり、ル・ピリエで演劇と映画の特集。ロシア文学、私は何度かトライしたが、本当に馴染めないもの。だいたい名前がよくわからなくなるのですよね。映画や演劇で触れるのが最も理解しやすい形ではあります。そして、この年に100年ということは、来年は没後140年。意外に近い歴史の人であることに驚いていたりします。考えれば、この紙をもらった時には全く興味なかったな。

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プログラム。文芸坐はウッディ・アレンの2本立ての後、「ぴあフィルムフェスティバル」。当時、私も毎号「ぴあ」を買って、東京の映画館を移動していた。まさに、インターネットのない当時の情報源であった。そしてPFFは当時のアマチュアムービーメイカーの夢の舞台でもあった。今も続くそれだが、日本の映画ビジネスの根底を帰るまでには至っていないのは、日本という国の特異性を表しているようにも感じる。

そして、その後に「第7回フィルムフェスティバル イタリア編」本当に元気な名画座であったことがよくわかる流れ

文芸地下は、アニメ2本立てのあとで、「GS映画特集」。ブームが多くの映画を送り出したことも忘れてはならない。若者が文化の根底をひっくり返す時代だったのだ。そしてこちらもPFFをやって、高倉健の主演作二本立て。共に佐藤純弥監督作品。こういう映画を撮れるというか、撮る人がいなくなった気がしますね。

そして、オールナイトは、これから書く「鈴木清順監督特集」の後に、ドフトエフスキー特集、PFFと続く。先に鈴木清順監督特集を6週通ったと書いたが、2週のおやすみがあったようです。

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ここで一気に鈴木清順監督作品を観ることになるのだが、日活時代に裕次郎の映画を1本も撮らせてもらえなかった監督のフィルモグラフィーはまさにB級映画の歴史である。だからこそ、自分勝手にいろいろやったということもあったのだろうが、映画ってこんなに楽しんで作れるものなのか!と気づかせてくれた作品群である。今にしても、清順映画は私の映画のテキストである。

「探偵事務所23・くたばれ悪党ども」

以前、このシリーズで書いた作品だが、当時16mmでも、総天然色で観ることができる清順映画はこれくらいだった。そういう意味では、美しい笹森礼子がみられるだけで何度見ても素敵な一本だった記憶がある。

「木乃伊の恋」

円谷プロ制作のテレビドラマ「恐怖劇場アンバランス」の一遍である。原作、円地文子。脚本、田中陽造ということで、そこそこ面白かった記憶だが、木乃伊でサッカーをやるようなシーンしか覚えていない。

「悪魔の街」

あまり内容は覚えていないが、ハードボイルドな刑事ドラマだった気がする。菅井一郎と河津清三郎という初期の日活の現代劇によく出てくる2人の出ているシーンは覚えている。特に清順らしい変な演出をしているわけではないので印象には残らない一本。こういう正攻法なものも撮るんだという印象を受けたと思う。

「踏み外した春」

左幸子、演じる(B・B・Sの女=保護士みたいなもの)が、不良で少年院から出てきた小林旭を見守る話。小林は高校生の役であり、後一年もするとダイヤモンドラインで主役をはるようになるが、ここでは、可愛い不良少年だ。恋人は、もう浅丘ルリ子。とはいえ、映画館から何度も笑いが出た記憶がある。なんかいろいろ気恥ずかしいシーンがあったのだろうか?もう一度見直したい1本だ。

「影なき声」

原作、松本清張の推理ドラマ。この作品も、内容はイマイチ覚えていないが、電話交換手だった南田洋子が事件に巻き込まれる映画だったことと、宍戸錠の出ていた印象しか覚えていない。調べると、主演は二谷英明なのですよね。全く記憶にない。

これらの作品は、この後、ビデオでも見ているのだが、ほぼ内容は抜けている。それほど、ある意味どうでも良い映画なのである。鈴木清順が最初はいわゆる二本立てのメイン作品を撮らせてもらえなかったということがよくわかる作品群なのである。


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