見出し画像

「その女、ジルバ(第4話)」時代の苦難を越えて、人は気付くというお話

第4回にして、ジルバの命日ということで、ドラマタイトルの話になる。ジルバが、ブラジル移民としてブラジルで生まれ、帰還するときに家族を失い、そして、太平洋戦争を過ごし、焼け野原の中で、この店を開いた話。それは、日本人が忘れてはいけない歴史の出来事。

そこに、久本雅美が捨て子だったという話が入ってきて、江口のりこが自分と同じだと、共感する。その時、江口は、会社から思いも寄らない早期退職を迫られていたという話。いつの間にか、視聴者は、江口のりこに共感していたりする。退職を迫られる話は、時代とは関係ないかもしれないが、世相という中で、平気で他人の生活を脅かそうとする会社組織とは、「人のためのものではないのか?」という疑問が浮かぶ。

世の中は、人の心に寄り添ってはくれないのだ。

そんなところに、池脇の弟(金井浩人)が訪ねてくる。彼は、3.11の犠牲者で、一瞬にして生活を自然に奪われた一人だった。姉の店にたまたまやってきて、それを驚くと同時に、ジルバの話に共感する。そう、人は誰も生きることに悩んでいるのだ。そんな、弟が、この回の中で成長する感じもうまく描けている回だった。今年は、あの時から10年、こんな話も再度多く描かれていくのだろう。いや、描いて欲しい。

その中に、狂言回しのように出てくる、元ジャック&ローズのホステスで、直木賞作家という中尾ミエ。役というか、中尾ミエそのままのキャラが店の中で喋りまくる。そう、中尾ミエは、ずーっと時代を超えて中尾ミエというキャラを視聴者に与えている。それが、テレビが産んだ優れたキャラだということがよくわかる演技。まだまだお元気なようだが、まだまだ、頑張っていただきたいキャラクターである。

この回は、さまざまな歴史が、ジャック&ローズの店内に想起する。そこに、見ている人達は、さまざまな自分の歴史も重ね合わせるような構造。そこに、現代のリストラという、人でなしの施策が重なる。人は、人の心と触れ合って歴史を作り、優しく楽しく生きていくのだが、それを壊す多くのことは、自然災害とともに、人が作ったものに自分自身が潰される人災だったりする。でも、みんなそんな中で一生懸命に生きていくしかないのである…。

年齢を重ねると、そいうい感覚は、人間の共有観念になり、多くの人は諦めながら生きていくということなのだろうが、その荒波でずるをしたような人が上にいて、嘘をつきながらその地位を維持するような今の日本社会は、やはり間違っている。

このドラマ、言えない経験も多く経験した高齢者を描くことで、それなりに歳とったみなさんは、自分のいらない過去まで考えてしまうはず。このコロナ禍もあり、その後の世界のリセットを考える日々ではあるが、そんな中で創作されるものであることは、このドラマの大きな意味になっている。

次週は、リストラ問題の本質が描かれるのか?

週末、さあ、来週も強く生きていこう!という流れのドラマであり続けてほしいですな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?