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「桜の塔」出世するためにはなんでもするプロファイラーの得意な警察官、玉木宏は声で演じる

ラスト、犯人役の森崎ウィンが声で気づく。そう、この事件は全て警察官である主役の玉木宏が仕組んで逮捕まで持って行ったことだったのだ。まあ、銃を密造することは犯罪である。その逮捕は良しとするとしても、人が怪我をしている。そういうリスクを背をってまでも、出世しようとするキャリアの警察官の話である。

武藤将吾のオリジナル脚本。本格的な刑事ドラマの中に、そういう黒い出世欲と、プロファイリングの話が散りばめられ、本格的刑事ドラマとして体裁ができている。ただ、全体に重々しく暗い。ただでさえ、暗い感じのこのパンデミックの世の中でこういうドラマが求められるのかはよくわからない。

大体、この枠、この間まで「にじいろカルテ」をやっていた枠である。あまりにもテイストを選ばない感じの枠だが、勝算はあるのだろうか?

主役、玉木宏は声で芝居する人だ。声優の声ではなく、俳優の声としてこの渋さは貴重である。そして、歳を重ねた分、なかなか重厚感が出てきた。奥様の木南晴香さんもなかなか軽やかに仕事をなさっているが、夫婦で良い波動を起こしているのだろう。少しワルの感じがなかなか良い。

そんな玉木のやり方を責めるのは、幼馴染でノンキャリアの広末涼子。いわゆる正義感が強いため、玉木のやり方が気に食わない。まあ、強気の役はできているが、華が無さすぎる。

私はもともと、デビューの時から、広末涼子に関しては興味がない。私の感情を何もそそらないからだ。女としても、俳優としても。そういう人は結構いるのだが、今に至ってまだ使ってもらっているのだから、観る人が見れば良い女優さんということなのだろう。まあ、これだけ色のないドラマの中では女であることはあまり関係ないということなのだろうが、もっとなんか心躍る芝居をして欲しい気はやはりする。

玉木の上司になる面々は、椎名桔平、光石研、吉田鋼太郎となかなか芝居ができる人を配しているが、警視総監役が段田安則なのは、少し役者不足の気がする。配役を見ると、それなりに金がかかっているので、もったいない…。

こういうドラマにはつきものの、クラブのママが高岡早紀。よくお似合いというところなのだろうが、私はこの人も、デビュー時から苦手である。女優さんに対しては、デビューの時にダメなものは、ほぼ最後まで馴染めない体質の私らしい。まあ、そういう私にとってはアウェイの配役なのだろう。

初回の話としては、目をつけられた男が、犯罪を起こすところから捕まるまで警察に誘導されていたという話。こんなことが実際あるのかどうかは知らないが、少し新しさは感じた。2話以降の話の仕掛けは楽しみではある。

このドラマは基本、出世ドラマである。大きな組織がまともに動いていない時代に、こういうドラマに興味ある人がどのくらいいるのだろうか?そこのところが気になる作品だ。時代は、出世よりも技術を持って好きなことを楽しくやる時代なのだと私は思う。

しかし、上の写真にある玉木宏のスーツで歩く後ろ姿が格好よくないのが気になったのだが…。

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