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東京オリンピック開会式予定の日を迎えて思うこと。

昨年の今頃には「2020TOKYO大会」なる言葉のオリンピックに関するCMが結構な数流れていた気がする。だいたい、「オリンピック」という言葉さえ、広告に簡単に使えない世の中はおかしいと思った次第である。そう、「オリンピック」という言葉はビジネスになる言葉になってしまったのだ。そのビジネスに向かって招致決定のあの瞬間から、どんどん膨らむ予算の中で準備してきたオリンピック。

そう、今日はその開会式が行われるはずっだった日である。まあ、誰もが待ち望んでいたものではないことは、このコロナ禍で延期と言われてもそれほど怒号が飛ばなかったことでもわかる。

あの、モスクワオリンピックを出場辞退する時、日本の声は「政治とオリンピックは別だ」に傾いていた空気感を覚えている。ただ、アメリカとの協調のなかで辞退することはやむを得なかったとも言える。オリンピックはヒットラーがベルリンオリンピックを政治利用して以来、自由な平和な祭典ではなくなっているのだ。それ以前も、有色人種に対する差別があり、先進国、戦勝国の粋なお祭り程度だったのかもしれない。

先週まで、大河ドラマ「いだてん」の再放送を見ていた。2度目の方が、オリンピックについて、深く考えて見ることができた。ここで出てくる嘉納治五郎にしても、金栗四三にしても、田畑政治にしても、ナショナリズムがあってのオリンピックであることは確かだ。ただ、その向こうには「面白いからやるオリンピック」というものはあったと思う。ドラマでは、オリンピックはそういうものだという意思が明確に描かれていた。

そう、1964年、私は4歳。その時の記憶は微かに残る。日本の首都東京はまだまだ埃っぽかった。そして、外人さんは街にほとんどいなかった。そんな中、世界の国がやってきて、日本はホスト国として、最高の演出をしたと言っていいだろう。ブルーインパルスが空に浮かべた五輪の飛行機雲はどういう環境下で見たかも明確に覚えている。今に残る代々木競技場のフォルムや、デザインがいまだに古く感じない駒沢公園の風景を見てもそれはわかるはず。そう、1964年の東京オリンピックは、後世に残るオリンピックだったのだ。

それを夢見て、というか利用するように石原慎太郎東京都知事がオリンピック招致を始めた。一度は失敗、そして、2度目に、石原都知事がいなくなった時、そして、何故かたまたま安倍晋三が首相でいたときに今回のオリンピックは決まったのだ。予算がかからないオリンピックだとか言って始めたオリンピック計画は、シンボルロゴに問題が出たり、国立競技場のデザインがひっくり返ったり、暑い季節の開催でマラソンが札幌開催になったり、そして予算が驚くほど膨れ上がったりして今年の年を迎えたわけだ。

そして、新型コロナウィルスという、誰もが予想だにしなかった問題が起き、3月には一年の延期が決まった。関係者は、「ワクチンができるから1年後にはできる」というかなり甘い読みをした。まさか、この開催予定日に日本で、世界で感染者数が増え続ける状態になるとは誰も思っていなかったということである。

正直、一年後にまともな形でオリンピックが開催可能と思っている人はかなり少数派であろうと思う。世論調査を見ても、後、1年延期か中止かというのが多くの国民の考えであると思う。

そんな中、昨日はオリンピックまで後1年という配信イベントが国立競技場でひっそりと行われたようだ。テレビで放送されないそれは、何を意味するのか?

アスリート・ファーストと最近はよく言われる。オリンピックの主役はアスリートであることは確かだが、そこにビジネスが関わると、アスリートがピエロにも見えてきてしまう。そんな事で良いはずはない。やはり、昔のアマチュアリズムを明確にしたものに戻すべきではないのか?それでは盛り上がらないという意見。世界一を決めるのにそれはおかしいという意見。いろいろあるだろうが、やはりマネーゲームになっているオリンピックはオリンピックではないと私は思う。

今回のオリンピックをやるにしても、やめるにしても金がかかることは確かだ。このまま大規模イベントができない状況では、作った箱物自体を壊さざるを得ないような状況も出てくるだろう。ちゃんと、開催しても施設が廃墟になることが多い昨今のオリンピックなのだ。そう、全てに関して未来が見えない状況を忘れてはならない。

2020年という年が、このパンデミックで世界的に転換期になるということは私が言わなくても周知の事実である。そのときにオリンピックのホストであったことは、日本という国の歴史的な記憶になる。それをどう活かしていくかは、私たちの問題なのだ。そこのところ、本当に真剣に考えるときである。まあ、今は目先の生死の問題にいる方が多すぎ、それを無視する政治家も多すぎる。政治家の玩具箱がひっくり返って、みんなが勝手なおもちゃで遊んでいるのが今である。

そして、開会式のために作った、4連休の2日目が今日である。いろいろな予定が組まれて変更はできなかったのだろうが、その東京で不要不急の外出は控えろとおっしゃる状況。そして梅雨も開けない状況で、本当に気が重いオリンピックイヤーになっているのである。

本当に、早くオリンピックは中止にして、再度のコロナウィルス対策を万全にして、日本の国を動かして欲しいと思う今日であります。

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