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「たとえあなたを忘れても」神戸を舞台に刹那いドラマが始まる予感

テレ朝、日曜10時のドラマ枠。TBS日曜劇場と、日テレ10時半のドラマ枠に微妙に入り込めない感じだが、これで3クール目、「日曜の夜ぐらいは…(岡田惠和脚本)」「何曜日に生まれたの(野島伸司脚本)」と私的には納得できるドラマが放映され続けてると思うが、なかなか視聴率はついてこないようだ。日本のテレビドラマが本当に好きな人たちなら、それなりに唸るような作品が続いているのに注目されにくいのは、他のドラマとリアルタイムでははしごしにくい現実もあるのだろうが、ちょっとそういうので評価されるのは悲しいですよね。

そして、第三弾は浅野妙子脚本、そして、堀田真由主演。堀田は結構な数ドラマに出ているし、CMでもよく見る顔になってきたが、女優としては、線が細い感じがするし、普通に美形なので、それがインパクトの弱さにも感じる。

そして、今回は主役なわけだが、そんな彼女に当て書きしたような、自分に自信が持てず、現実の歯車がどんどん外れていくような喪失感に襲われる最初の描き方。ピアノの講師の仕事がなくなり、金銭的に苦しい状況の描き方は日曜の夜には少し見るのがきつい人もいるのではないか?そのくらい、リアルである。ご飯にかけるふりかけの量も抑え、飲みたいメロンジュースもオレンジジュースになってしまう。そして、友人のつてで受けた出版社も、音大中退で、普通の会社に勤めたこともない履歴では、自分の良さを説明もできぬままに不合格にされる。

そんな暗い気持ちの中で、心のオアシスのように現れた、キッチンカーでジュースやホットドックなどを売る青年、萩原利久。彼に声をかけられてそのまま、彼の好きな廃墟にデートに行く。そして、少し心が晴れる堀田。

ここまでの堀田の演技がドラマの導入をすごくスムーズにしている。彼女がこういう心の繊細さをうまく表現できる女優だということがよくわかるのは良い。そして、楽しい日々が続くが、彼は堀田をデートに誘ったまま突然いなくなる。

今回の相手役、萩原利久。前期は「真夏のシンデレラ」で言葉を選ばない、いけすかない医学生を演じ、そんな男が恋におちるというリアル感のない役をやらされていたが、ここでは、なかなかナチュラルに優しい男を演じている。堀田とのバランスも良さそうだ。

堀田は、携帯販売店に就職できる。ここの店長かリーダーかわかないが、厳しい顔した松井玲奈。こういうクールな役もしっかりこなせるいい役者さんになったと思う。今、再放送中の朝ドラ「まんぷく」では、アイドル感がすごいが、そこから考えれば女優さんとして存在感がついた感じです。まあ、映画の主役もしっかりできる方ですからね。

で、その仕事で歩いてる中で、堀田は萩原に再会するが、萩原は堀田のことを覚えていなかった。一緒にいた岡田結実が、堀田に萩原が堀田の記憶がないと教えてくれて初回はエンド。

多分、途中の堀田のナレーションからすると、このドラマは堀田が二人の出会いからの出来事を思い出して語るような作りなのだろう。初回は説明くさくなく、堀田の視点でなかなか上手い導入部になっていた。ドラマの空気感は、最近には少ないピュアな恋愛ものに仕上がりそうな気がする。

このドラマ枠、多くの方に見てもらって存続していただきたい限り!

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