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「あの頃、文芸坐で」【24】陽のあたらない名画祭にて、「フランキーの宇宙人」「ブルークリスマス」

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1980年、40年前の芸術の秋である。この年の文芸地下の「陽のあたらない名画祭」に2度行っている。その最初。観た映画は「フランキーの宇宙人」(菅井一郎監督)「ブルー・クリスマス」(岡本喜八監督)という不思議な二本立てだが、SF繋がりだったのですね。そういうおかしな組み合わせがまた昔の名画座の妙だったりもしましたね。

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コラムは、この夏に公開された映画「鉄騎兵、跳んだ」をもじって、ツーリングの話。昨今は不景気や若者の車ばなれなどと言われる中、バイクの話も話題にする人が少なくなってきた感じがする。 暴走族も絶滅危惧種でしかありませんしね。この映画の舞台である、モトクロスという世界も、なかなかスポンサー維持も大変な時代になるのだろうなと思ったりもする。映画「鉄騎兵〜」は石田純一の初主演作である。小澤啓一監督が当時、久々ににっかつで撮った青春映画。相手役はデビューしたばかりの熊谷美由紀。主題歌を松田優作が歌っている。この当時から縁があったのですね。

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文芸坐のプログラムを眺めると、「グローイング・アップ2」が上映されていますね。イスラエルからやってきた、オールディーズ満載の青春映画。最近は観る機会がないですが、世代を越えて理解できる甘いおはなしでしたね。もう一度、シリーズ再見したいシリーズです。

文芸地下も、陽のあたらない名画祭のあとは、「翔んだカップル」以外は今ではあまり観ることのできない作品が並びますね。でも、この当時の映画って「配達されない三通の手紙」は松坂慶子、「戒厳令の夜」は樋口可南子の裸体だけを覚えてる感じですね。とにかく人気女優が脱ぐのがテレビと映画の違いだった時代です。今では、考えられませんがね…。

オールナイト「日本監督大事典」には佐藤純弥のプログラム。時代劇、任侠、実録と続く東映路線にあって、少し変わったものを撮っていて、結果的には角川映画を撮ることになる監督。ある意味、金を使った映画を形にできる人でしたね。公開当時全くあたらなかった「新幹線大爆破」が今も観られ続けて評価されているのは、映画監督としての彼の力を示すものです。

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この日の収穫はなんと言っても「フランキーの宇宙人」だったと思う。前回に書いた「牛乳屋フランキー」他に驚いて、日活時代のフランキー堺をもっと観たいと思い観に行ったと思う。監督は役者としての方が有名な菅井一郎。フランキー堺が一人で14役やるというカメレオン映画?である。というのは、フランキー星という星からやってきた宇宙人がみんなフランキーの顔をしているという設定なのである。あまり詳細なことは覚えていないのだが、フランキーがいっぱい出てくるわけで面白くないわけはなかったと思う。ただ、どちらかというと、フランキーが画面にいっぱい出てくるような特撮の面白味が話の筋よりは抜けていた感じの印象である。

そして、もう一本は倉本聰の脚本がお蔵入りしていて、キネ旬にその脚本が載って、映画化に進んだ一作。UFOを見ると血が青くなるという話である。雪に散った青い血の画が思い出されるが、面白くなかったということしか明確に覚えていない。岡本喜八監督的な面白味もなかった印象。そのまま陽があたらなくなっていった一作であった。

と、こう書くと、「面白くない」と言われた古い映画ほど、どのように面白くないのだと追いかけたくなるのがコアな映画ファンという気がする。特に日本映画の掘り出しが好きな皆さんには、「ブルークリスマス」などは餌食の映画ですよね。

次回は、陽のあたらない名画祭の続きです。


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