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「病院の治し方 ドクター有原の挑戦」経営と理念のバランスを永続的に保つ力学

なかなか、視聴率的にもよかったらしいこのドラマ。病院というものが多くの人にとって興味ある重要なものということだからだと思う。そして、今回の新型ウィルス問題も、病院の機能というものがとても重要だということは誰もが知っていることだ。

7回に渡るドラマは、脚本が特に弱くなることなく、「病院の経営と理念」というものを同時に満たすことがいかに難しいかということを、視聴者に訴えながら、最後は、ドラマチックに黒船の黒い臭いをさせたM&Aの話をひっくり返して、エンターテインメントして成立したラストを見せた。

大資本がついていない病院というものがいかに経営が難しいか。そして、どういう病院が地域のためになるかということ。末端の地味な経費削減に始まり、安心して産んで育てられる産婦人科の改革、24時間救急体制、地域の町医者たちとのネットワーク構築、など、病院がこうあれば、顧客である周囲の人々の笑顔につながるという話を、わかりやすく描いたドラマになっていた。

そして、最後は、救命救急センターとして機能させるとともに、必要な最新医療の導入もやっていくという流れ。これは、主人公が元大学病院にいて、一流のものを見ているからできることである。一流のものを見てきたからこそ、これだけの病院改革ができたということは忘れてはならない。

だから、昨今の医大入試の男女差別などみると、本当に悲しくてならない、そこには、理念というものが皆無だし、性による差別的なものがある以上、その理念を語る以前の問題だろう。

そして、院長が一流の場を知り、現実に提示されたものを大きくしていくアイデアを常に考えているからこそ、この無謀とも言える挑戦ができたのだろう。そして、忘れてはならないのが、もう一人の主人公の高嶋政伸である。彼が銀行から病院に移り、主人公のバディという感じで働くことにより、この物語は成立している。高嶋、一時は少しネガティブな役が多かった気はするが、ここは、貰い役で適役だった。

周囲の医者は、ずーっとネガティブな部分を残しながらもついていく。そして、最後にその流れは意思を統一して、一緒になり、大きな流れになっていくのは、ドラマとして気持ち良い。

そんな、病院の再生の最後に、最初にクビにした光石研やプログラマーの片桐仁などが話をアシストしてくるのも、意外性を含め、ドラマをよくわかっている脚本だった。山本むつみさんの一流のお仕事の元に心地よいラストを見せていただきました。

そして、この話を終わりまで見て考えるのは、どんな企業にとっても「経営と理念」という部分のバランスの取り方で、ビジネスは大きく方向を変えるということである。今の世の中、とかく、経営の方に舵がとられ、利益追求に陥りがちだが、やはり、仕事に大切なのは理念であり、提供するものに対する愛情が先にないと経営はうまくいかないと私は思う。

ここで、最後に出てくる外資のハゲタカ集団はこれからますます日本に迫ってくるだろう。だが、個々のビジネスの理念を犯すものならば、決して一緒になってはならないものだと思っている。その威圧に弱くなった日本経済が対抗できるのかという問題はある。まさに、幕末に不平等条約を結ばされた状況に近いのが恐ろしい。

そして、現在の新ウィルス問題。ここでも、医療法人の利権争いがあるようなことを報道する人たちもいる。そして、政府の人々も、国民の危機さえも利用しようとする思惑が0ではない。

国家としての理念が明確でないから、官僚たちが強いことをいえないのか?結局は個々の利益しか追っていないからこうなるのか?真実は中に入らないとよくわからない。しかし、日本の医療陣が、世界で有数の良い仕事をしていないのは事実であろう。

医療に従事する人々は、それだけでその意思は大きいし、優秀な人たちの集まりだと私は認識している。一流の仕事で、現在の日本の医療を、そして未来の医療を、より良いものにしていただきたいと思う次第である。


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