見出し画像

「あの頃、文芸坐で」【11】「桃尻娘」にただただ心酔した頃。

画像1

画像2

画像3

画像4

浪人に受験生に完全に飽きていた夏休みの終わりの話。「夏休みを制するものは受験を制す」とかよく言っていたが、嘘である。夏は暑い。そんなとこで受験勉強など真剣にできる変態が大学に入ったってロクなものにはならない。若い男にとって夏は、水着の美女によだれを溢す季節である。最近はこういうこと書くだけでセクハラだとか言われる時代であるが、男はスケベでナンボである。少子化なんてものは、男がスケベでなくなり、極度のスケべがただの変態になったことが原因である。抱擁さえ、普通に出来ない世界で、これからスケベのDNAはどう処理されるのか?

長い枕は、このプログラムを貰ったこの日は「桃尻娘」と「桃尻娘・ラブアタック」を観たからである。初めてこの2本観た時は、とにかく竹田かほりに惚れたことはよく覚えている。スレンダーな美女は好きである。

*     *     *

まずはコラムから。「コラムがつまらない」と言われる話。この頃はインターネットもなく、ブログとかSNSとかなかったわけですから、こういうところに文章が載るのは大変なこと。いわゆる「ぴあ」のはみだしが、ネット的な意味を持っていたんですよね。雑誌に簡単に自分の情報が載せられた世界は画期的だった。あとは、ラジオの深夜放送かな?だから、こんな街の片隅の映画館のコラムでも、貴重なメディアだった気がします。現在のようにテキスト消費が軽いものでなかった時代。だから、私が貰ったこの紙の文章が今に甦るのです。最近のゆったり生活で思うことは、やはり人の魂の感じられる文章が読みたいし、書きたい。そして、映画にも魂を込めて関わりたいということ。それが、何年後かの誰かのためになるなら、それは嬉しいということです。

*     *     *

文芸坐は「エリア・カザン・ワンマンショー」そしてヴィスコンティ。そしてコメディ。「ケンタッキー・フライド・ムービー」など、最近の若い人でも、名前だけで観たいでしょうね!そして、「陽のあたらない名画祭」渋い作品が並んでいますが、昨今では観られないものがほとんど。こういうプログラム見ると、映画が本当に時代の消費物であることがわかります。

邦画は「桃尻娘」に始まり、今平と角川映画、愛の限界を描く?ポルノ二本、そして金田一耕助だが、併営が「猫が知っていた」というのは、不思議なプログラム。この原作は第一回江戸川乱歩賞を獲ったものですよね。

オールナイトは、小津安二郎の連続上映。サイレント作品を弁士付きで一本と、いわゆる戦後の小津作品3本。小津作品をオールナイトで観た経験はないが、同じような内容の作品を夜中に三本観ると、さすがに内容もカットも混ざってしまう感じでしょうな。そういう意味でも小津安二郎って恐ろしいのですよ。AIとか使えば、簡単に、現存する素材つないで、似て非なる小津作品を作ることは可能だと思います。絶対やって欲しくないが、これから誰かが実験するでしょうね。

*     *     *

そして、「桃尻娘」の話である。昨年、1月に亡くなられた橋本治原作の青春小説映画化。ちょうど当時の高校の雰囲気や空気感で成立してる話だ。橋本さんは断崖の世代だから、2つくらい上の世代だが、都立豊多摩高校出身。同じ学区だった私には近い部分もあり、この話、たぶん当時の都立高校出身者にはシンクロできる部分が大きい。

そして、この作品2本ともロマンポルノのプログラムの中で公開されたものだ。監督は小原宏裕。主役の竹田かほりは、私が高校1年の頃、雑誌GOROの激写でほぼぺったんこの胸を披露して、若者を魅了した。そう、それだけスレンダーなヌードに、クラスの男子は狂気していた覚えがある。激写に出てからロマンポルノに出た女優さんは何人かいるのだが、みんな還暦になる感じである。女性がヌードを撮るときに「綺麗な私を残したい」などと言うが、篠山紀信に激写された女優さんたちは、今どう感じているのか?そんなインタビューする方いませんかね?

そして、ロマンポルノは、この辺りから、ジメジメしたものから、明るい青春ものに変化していったのかもしれない。その行き着く先が「スキャンティーズ」だったりもする。同年代の寺島まゆみなどに私はどんどんシンクロしていった。

話が逸れたが、この映画、竹田かほりと亜湖のコンビ絶妙さとそれを取り巻く、カマトト栗田恵子、そしてオカマの源ちゃんを演じる高橋淳の高校青春ストーリーである。確かに性的な内容は多いし、裸のシーンは多いが、今見てもいやらしいものではない。それは、竹田の身体のスレンダーのせいもあるのだと思う。桃尻娘と言いながら、桃尻ではないのに、私には竹田がこの役にはぴったりのイメージのままである。この映画の後、テレビで相築彰子主演でドラマが二本撮られたがこちらもなかなかの佳作だったが、やはり、私の桃尻娘は竹田かほりである。そう、原作も映画を観てから読んだので、それ以外の選択肢がないのだ。

そうそう、この映画のそれなりのヒットでテレビで「体験時代」という竹田主演のドラマが撮られたのだが、もう一度見たい限り。

とにかく、この映画の主題歌も、なかなか良い曲であった。ビデオではいまでも鑑賞可能だが、もう一度映画館で観たい一本である。なぜかといえば、先にも書いたように、それが私の青春時代の高校生活に近いからだ。

そして、竹田かほりは、人気があるうちに、甲斐よしひろの嫁に行ってしまった。たぶん、還暦過ぎてお元気なのでしょうが、あまり顔を見せたりしないでくださいね。私の竹田かほりは、桃尻娘のまま、止まっていますので…。

1979年はここまで、次回から絶叫の1980年代に入ります。


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?