見出し画像

阪神JFで白毛馬の勝つ時代。「ソダシ」の粘りに、来年への希望をもらう

一般的に黒や茶の中馬の中を白毛馬が走ると、そこにだけ目がいってしまう。芦毛馬でもよくあることだが、白毛馬はその比ではない。競馬界もマイノリティーの馬が勝つ時代になったと言っていい。2歳女王を決めるGIレース「阪神ジュブナイルフィリーズ(芝1600m)阪神競馬場」で、そんな白毛馬「ソダシ」が見事優勝した。白毛馬がGⅠレースを勝ったのは、世界的にも初めてのことらしい。

「ソダシ」のお母さんは「ブチコ」、おばあさんは「シラユキヒメ」と、白毛馬として活躍した家系だ。戦績に関して言えば「シラユキヒメ」は0勝、「ブチコ」は4勝するも、重賞勝ちはない。そして、今日のヒロイン「ソダシ」は昨日で4勝0敗。強い馬だと言うことはよくわかる。父親は「クロフネ」良い配合だったのだろう。

今年は、競馬界にとっても新型コロナウイルス感染で無観客で競馬を開催するというイレギュラーな状況だったが、そんな中で3歳馬は、牡、雌ともに無敗の三冠馬が出るというニュースで盛り上がった。そして、ここで来年のクラシックに向ける最初のGⅠで白毛馬が雌馬の頂点になったと言うことは、本当に競馬そのものの本質が変わってきている気もする。

サラブレッドの白毛は、肌がピンクで生まれた時から白毛である。芦毛馬とよばれる馬は、灰色が多く、それが歳をとるとともに白くなっていくと言うことはあるが、根本的に遺伝子が違うと言うことだ。だから、白毛が競走馬として残ることも珍しいし、それが勝つことはかなり小さい確率にある。そんな白毛馬がGⅠに勝ったと言うことは、本当に革命的なニュースであり、今後、同じことが起こるかもわからぬ快挙である。血統的に子どもたちがまた強い白毛になる可能性はあるが、なかなかそれも難しいことを競馬ファンはしっている。

今日のレースを振り返れば、スタートから好位置で走り、4コーナー回った後に、他の馬と駆け引きするかのように前に出てきたが、一度は差し返される。それを最後の最後、ゴールでハナ差に差し返す根性を見せての勝ち。このレースを見れば、実力的には、他馬も同じようなものだという感想を持つだろう。だが、2着、3着は外人騎手。ソダシに騎乗したのは吉田隼人騎手新馬戦からずーっと乗り続けている。その信頼の粘り勝ちだったのかもしれない。そう、このコンビで勝ったという感じが私はした。

ここ数年、人間の世界では、ジェンダー問題や、マイノリティーと呼ばれる人の差別問題が多く語られるが、馬の間では、この毛色という問題はどう考えられているのだろう。馬は基本肉食動物から追われる動物だと考えれば、白毛馬は目立ちすぎる。そう言う意味で遺伝子が増えなかった可能性もある。そして、仲間としてもあまり近づきたくない存在なのかもしれない?どちらにしても、人間ならいじめられる対象だ。

そう言う意味で、出るべき時代に出てきたヒロインなのかもしれないと思った。この馬の快進撃が続けば、来年は競馬の女性ファンがまた増えるかもしれない。来年は、競馬場に「ソダシ」を観に行きたいと思わせる昨日のレースだった。まさに、スターホース誕生の瞬間だったのか?

「ソダシ」の名前の由来はサンスクリット語で「純粋、輝き」だそうだ。本当に、スポーツだけは純粋なものであってほしいと思う人は多いと思う。それを見直させるヒロインが彼女なのかもしれない。2021年、注目であることに間違いはない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?