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「俺の家の話(第七話)」殺気と幸せなラーメンと能が死体

ラスト、戸田恵梨香の長瀬智也への恋心が通じたような終わりかた。だが次週の予告を見ると、まだまだ混沌とした家の状況。とはいえ、今回は、子供の親権問題から、戸田のプロポーズに答える話まで、なかなか濃い感じの回ではあった。

そう、長瀬と戸田が夜中に向き合って気持ちを吐露しあうようなシーンがいい。二人の役者の成長度がとてもよくわかるシーンだ。戸田が作るインスタントラーメンが、セリフ通りにおいしく見せる演出も抜群であっった。そして、何よりも戸田の「好きだ」という恋する表情がたまらない。ある意味、男殺し的な演技である。山族抱っこにイってしまう感じが良い。そう、この女優さんはあくまでも表情で見せる女優さんなのだろう。

そのシーンの顛末の肩透かしで、能衣装泥棒を捕まえて、西田の認知症での間違いの話は取り消されたが、検査結果は、さらに認知症が進んでいるという結果。ある意味、タイムリミットが迫っているということの見せ方は上手い。そして、介護の世話をしている、荒川良々が家族を集めて相談しているシーンが今回はいつも以上に面白かった。この大喜利のようなシーンでも、今回の宮藤脚本は、力を抜かずにしっかりできている感じがする。ここに、戸田の恋心が忍ばされている感じもとても好きである。

西田の部屋を確認するシーンで、「GORO」「スコラ」という雑誌が出てくるのは宮藤の趣味?そして、えっちなトランプやボールペンって懐かしいですね。それを孫に内緒で配っているようなおじいちゃんもいそうですしね。

親権問題に関しては、最後に親としての長瀬の凄みが認められた感じもあるが、息子が、二人の父親のために二つの作文を書く。ここに子供の気遣いを感じさせるのは浪花節である。そう、宮藤官九郎は、しらっとこのような浪花節を平気で使う。そこが、日本人の心をうまく掴めるところでもあるのだろう。

今回は、長州力が出てきてくれた。電話に対し「切れてないよ」という噛ませ方は、ただ嬉しい感じ。その流れで連敗中の井野脇海が、能を習いに長瀬の家に来るというのは、少し無理があるが、この辺りは、プロレスとのシンクロの無理強いですね。こういう違和感が宮藤脚本の面白みの一つではあるわけですが、まさか、介護の話に潜り込ませるとは思いませんでしたね。

そして、ラストはプロレスシーンで、格好いいお父さん姿を見せて終わる今回。そろそろ、最終章に向かうところなのだろう。この間、読んだネットの記事に書いてあったが、能の世界にとっては、能が取り上げられることだけで嬉しい限りだということで、これで全国の子供たち若者たちの中から、「能がしたい」ということを思う人がいたら嬉しいとのこと。だけど、私的には、プロレスの世界が華やかすぎて、やはり興味を持つならこちらだろうと思ったりもする。しかし、「能が死体」という印象的な書き間違いは、どう捉えたら良いのであろうか?

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