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「君と世界が終わる日に」テレビの連続ドラマでゾンビを扱うという面白み

日本テレビとHuLuの共同制作。前半は地上波で後半はネットというビジネスのドラマ。ストリーミング業界も客の取り合いの中で出て来た企画だろう。そういう意味では、視聴者の欲望に応えるように、「世界滅亡」「ゾンビ」という、テレビでは少しエキセントリックな題材の企画である。映画にしたら、それなりのファンを掴める題材でもある。

ゾンビものというのは、ゾンビがどれだけ出てくるかで、その映画の印象が変わってくるわけで、そういう意味では、なかなか頑張ってゾンビ役者を連れて来たようだ。メイクだけでも大変だと思うが、初回はそれなりに大作前としていた。(結構、これだけで手間とお金はかかるはず)

この企画、「感染」という言葉が出てくるが、やはり今のパンデミックだから出て来た企画なのだろうか?自分自身が「感染」という言葉に敏感になっていて、ドラマに引き込まれたのだから、観た人はそういうシンクロ状況を感じているのかもしれない。ただ、ゾンビは目に見えるから、恐怖感もはっきりする。今の世界の状況は見えないゾンビに囲まれている状況だというのも認識できる。救急車の血を使ってゾンビを避けるところなど、こういうことが今できたらどんなにいいかと思いますよね。ウィルスには罠がかけられないという現実が、今の世界の不安を煽っているのだ。

話は逸れたが、ドラマのテイストは、完全なゾンビとの追いかけっこのアクションドラマのようだ。武器が警察官の銃とともに、弓道をやっていた主役の竹内涼真の弓矢だというのは、結構面白いところだ。しかし、初回でこんなに弾や矢を使ってしまったら、なくなってしまわないか?と心配してしまいますよね。ゾンビとのチェイスゲームの中に視聴者が入り込む感じの内容は、観ていて飽きない。いつも思うのだが、なんで生きているわけではないゾンビが死ぬということがあるのだろうか?結構、いい加減な部分が多いですよね。

主演の竹内涼真も、こういう役があってはいるが、恋人の中条あゆみに対する信頼は少し強すぎる気がする。ほとんどの人がゾンビに噛まれてゾンビになってしまった世界の中では、生き残る可能性は少なすぎるから、絶望感の中での可能性を語るような方がいい。まあ、初回で彼女が生きているのはわかったわけで、主役が最初から死んだらドラマにならないのでこれでいいのだろうが…。周囲になかなか信頼してもらえないウザめの演技はできている。

とにかくも、最初は閉じ込められた竹内のシーンから始まり、どうしてこうなったのか?は示されていない(ゾンビ映画には、そういう意味を求めちゃいけないのは知っている)。次週は、医療側の話も絡んでくるようだが、この狂ってしまった世界の俯瞰図みたいなものが早く観たい気はする。それがないと、ただ、ゾンビとの鬼ごっこドラマになってしまいますものね。(そういうファンを呼び込むためだけのドラマということもあるような気はしますが…。)

脇も、安藤玉恵やマキタスポーツなどを揃えそれなりに興味深い。とにかくも3回目くらいまでみて、初回以上の加速がついていれば、今期の中では結構面白いドラマになるような気はする。


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