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「あの頃、文芸坐で」【67】「赤い通り雨」「おんなの細道 濡れた海峡」雨や水、海がドラマチックなロマンポルノ

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文芸坐.001

前回書いた、長崎俊一監督オールナイトの2日後の1982年2月22日「赤い通り雨」と「おんなの細道 濡れた海峡」の二本立て。なんで、この2本なのか?よくわからないが、リクエストだったりしたのだろうか?私は、間違いなく、風祭ゆきのロマンポルノデビュー作を見たくて行ったものだ。そして、「おんなの〜」ももう一度見たかったという感じだったのだろう。

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プログラムから、コラムは「Uボート』について、なかなか凄いドイツ映画だったのを記憶している。私も、このすぐ後に、新宿ミラノ座でロードショーを見ていて、よく覚えている。潜水艦の中の閉塞感みたいなものを強く感じる戦争映画だった。戦争の愚かさがよく理解できる映画だったとも記憶している。このコラムに書いてある通りだ。

そして、プログラムは、文芸坐は先週から代わり映えなく。文芸地下は、角川映画の後に、「吼えろ鉄拳」と「獣たちの熱い眠り」80年代初頭の東映の混沌とした感じが出ている二本立てだったりもする。オールナイトは、野村芳太郎特集が1週なのは、なんかもったいない気もするが、その次は野村孝監督。この話は、この後観に行くのでその時に…。ル・ピリエは3月から演劇が始まってますね。

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そしてこの日観た映画について。

「赤い通り雨」

小原宏裕監督、那須真知子脚本のレイプ映画である。兄弟にレイプにあいながらも性的興奮を忘れなくなる女の話。そう、風祭ゆきはデビュー作からレイプされている。だからレイプクィーンと呼ばれたのだが、40年後の今の風潮では、とても、許されない作品だろう。今作ったとしても、極度の過激なレイプシーンは撮れないし、これを演じる女優もいないだろう。ある意味、そういうのはAVに任せておけという感じになってしまっている。でも、この映画、女性が脚本書いているのですよね。そう考えると、那須さんはかなり変わった脚本家だったのでしょうか?でも、今の若者たちに、この映画を見せてどういう感想を持つかというのは聞いてみたい。こういう映画が今、成立するのか?ということは明確にしたい気がする。そして、上のポスター写真にあるように、最初から風祭ゆきはレイプされる側だが、挑発的な美しさを持った女優さんだった。この映画の最後に、レイプ犯人は兄弟のどちらだみたいなことを警察に聞かれ、名指しして男を選ぶシーンがあるのだが、そこだけはよく覚えている。

「おんなの細道 濡れた海峡」

以前にも書いたが、この映画今思えば、武田一成監督の最高傑作かもしれない。田中小実昌原作、田中陽造脚本、前田米造撮影、という支えるスタッフが優れているとも言える。女優は、桐谷夏子、山口美也子、小川恵と至って地味であるから、作品として語れる映画といっていい。特に前田米造のカメラは、寒い空気感をよく表現していた。そして、心の温度みたいなものをそこにうまく表現したのは武田監督の技なのかもしれない。久しぶりに見てみたい一本ではある。

考えれば、この頃、もう私は大学の春休みに入っていたのですね。かなりの量の映画を見続けていることに今更呆れます。

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