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ロマンポルノと対峙した日々(「あの頃、文芸坐で」外伝)【21】正月からロマンポルノ「情婦はセーラー服」「レイプウーマン・淫らな日曜日」他

1982年は、私が人生の中で最も映画を観た年になる。大学三年。理系ということもあり、単位が足りなければ簡単に留年という中、よくもまあ、映画館に通っていたと思うわけである。まあ、大学側が今では考えられないくらいザルなシステムだったということはあるけども。そんな中でロマンポルノもこの年に一番観ていると思う。そして、ピンク映画にも手を出しているので、まあ、よくも女性の裸体を観ていたものだと呆れるが…。とにかくも、この年の記録はちゃんと書いていきたいので、このロマンポルノ連作の中でも一般映画のことを書いていったりしますが、悪しからず。あくまでも、この当時の映画状況と私の映画の見方の懐古ですので…。

この年、最初に映画館に行ったのは1月4日。当時は、1日がサービスデーということもなかったし、それなりに正月の映画館は混んでいたので三ヶ日は避けていた。と同時に、正月といえばテレビで多くの映画がかかっていた頃だから、それを観ていた気もする。

ほんでもって、この年最初に観たのが、新宿グランドオデオンで「キャノンボール」を観た後、前年12月11日にオープンした、シネマスクエアとうきゅうで「ジェラシー」を観る。「キャノンボール」は正月映画としては大ヒットで、この日も立ち見が出る盛況だったと記憶する。(立見というシステムが今の人には理解できないでしょうけどね)。そして、シネマスクエアとうきゅうは、その後、結構通うのだが、とんでもない豪華な椅子と、定員制のミニシアターとしてなかなかファン好みの映画館だったが、初めて入ったこの日は結構興奮していたと思う。それなりの正月気分だった。

そして、次の日の5日には、もうロマンポルノを観に行っている。場所は、高田馬場東映パラス。観た映画は「情婦はセーラー服」「レイプウーマン・淫らな日曜日」「ドキュメントポルノ・人妻売春の手口」。この頃はもう、ロマンポルノを上映している男だらけの紫煙漂う映画館環境にもなれ、結構ワクワクしながら映画館に通っていたと思うわけです。

「情婦はセーラー服」(西村昭五郎監督)

このタイトルで「イロはセーラーふく」と読みます。前年の11月13日の封切り。角川映画「セーラー服と機関銃」が封切られたのが12月19日だから、バッタものを先に出したということですね。ヤクザの跡取り娘のお話で、一応、原作があったようである。主演は、ロマンポルノの聖子ちゃんの寺島まゆみだが、ここでは、ロマンポルノのひろ子ちゃんなわけだ。ヤクザと無理やり結婚させられそうになり、駆け落ち。そこで、やくざの女親分に男を拐われ大騒動。そして、最後に、九州から寺島と結婚するはずだった林ゆたかがやってきて、寺島を助けて結婚することにという流れ。まあ、それなりに面白そうな話だが、当時の私の評価はそこそこ。いわゆる西村昭五郎監督の標準作よりは少し上ということですね。

「レイプウーマン・淫らな日曜日」(上垣保朗監督)

上垣保朗監督のデビュー作。主演は風間舞子だが、長崎俊一監督の映画によく出ていた伊藤奈穂美、内藤剛志が出ているのと、小松方正なども顔を出しているから、それなりに力の入った作品だったと思う。会社で両天秤にされ、ともに関係を持った男(錆堂連)に復讐をする話。風間舞子のいつもの変態ムービーではあったようだ。そこに加勢するのが内藤だったようだ。この当時、内藤剛志は結構な数ロマンポルノに出ているが、40年経った今でも役者を続けているのは、このスタートがあったからだと思う。ロマンポルノの男優はどこか攻撃的でなくてはならなかったから、彼は印象的だった。

「ドキュメントポルノ・人妻売春の手口」(中村幻児監督)

出演は、水野晃子、水月円、杉佳代子。脚本は吉本昌弘で、監督はこの当時、高橋伴明と人気を二分にしていた中村幻児監督作品。ということで、当時の私の評価はそこそこなのだが、全く内容を覚えていない。売春の話なのだろうが、…。

ということで、正月最初に観たロマンポルノの三本立てとしては、そこそこ面白かったようなのだが、他の日の情景と混ざっているのもあり、記憶は定かではない。この中で「情婦はセーラー服」はなんとなく覚えているから、やはりこの辺りの記憶のありかは、女優さんの裸体なのかもしれない。嘆かわしい限りだ…。

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