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「あの頃、文芸坐で」【40】青春で観た青春映画6本!「大学番外地」「鉄騎兵跳んだ」「祭りの準備」他

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このプログラムは3枚持っている。「青春ひた走り!傑作青春映画集2」に3度通ったからだ。観たのは6本「殿方ご用心」「ヤングパワー・シリーズ大学番外地」「ヘアピン・サーカス」「鉄騎兵、跳んだ」「キューポラのある街」「祭りの準備」、バラエティにとんでいる。皆、それなりに印象的な作品だ。

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コラムは「ネオ・ファンタジア」の話。私は、この映画観たかったが見損なった一本である。調べると、DVDは出ているのですね、機会あれば観たいと思います。

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プログラムは、文芸坐は「ローズ」と「オール・ザット・ジャズ」、「博士の以上な愛情」と「未知との遭遇 特別編」という、なかなか今上映されても観たくなるプログラム。文芸地下は、「ロマンポルノ特集」のあとは、またまたロマンポルノ「もっとしなやかに もっとしたたかに」とATGで公開された「もう頬づえはつかない」。これも時代を感じる2本ですね。あれから40年、私はまだ頰づえをついてばかりです。

オールナイト「日本映画監督大事典」は須川栄三監督と、鈴木則文監督の登場。須川監督の「颱風とざくろ」は映画館でもう一度観たい一本。この当時の女優は裸になるしかなかったの?と思わせる作品。ひし美ゆり子さんと桜井浩子さんの共演も見所。67年当時から、どんどんそういう風潮になるのが見える一本です。

鈴木監督作品は、もう映画館で見られる機会がないに等しい作品群だと思う。「トラック野郎」だけでなく、ここにある作品群、題名見るだけでも心躍る感じがいいですな。多岐川裕美さんの「聖獣学園」はもう劇場にはかからないのでしょうかね?裕美さんの最も美しい頃の姿が収まってるのですけどね。本当に裸の記憶は強いのです。

ルピリエでは、山川直人監督の「アナザ・サイド」かかってますね。山川監督は最近どうしていらっしゃるのでしょうか?出演者の顔ぶれ見るだけで、その頃に気持ちが戻る作品ですね。

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そして、「青春映画特集」で観た6本に関して

「殿方御用心」

曽野綾子の原作を土井茂という監督が演出した1966年公開の大映映画。舞台は大学。主役の女子大生が安田道代と悠木千帆(後の樹木希林)。男子学生は石坂浩二に荒木一郎。と書けば、観たくなる人は多いでしょうね。内容は「女子大生亡国論」に反論しようとする話。話の内容よりも、役者が生き生きとしていたのをよく覚えている。この当時から悠木千帆はとても印象的な役者だった。そして荒木一郎の役名がネズミというのも、「ぴったりだ」と思ってよく覚えている。もう一度観てみたい作品ですけどね…。

「ヤングパワー・シリーズ 大学番外地」

この時みた、6本の中で一番記憶に残る作品。1969年の大映映画。梓英子主演の学生紛争の話。調べると、この映画の公開は11月。この年の1月に安田講堂の事件があり、学生紛争は収束に向かっていた頃だが、当時の空気の中で撮られたこの映画に、私は「すごい!」と思ったのだ。主役の梓は、受験に失敗するが、街でゲバ学生の騒動に巻き込まれ、偽学生になって紛争に関わることになる。そして、週刊誌カメラマンの峰岸徹が彼女を追う話。最後に偽学生であるのがバレ、学生たちから監禁され、警察からの放水を受けるシーンが印象的だった。ラストは、彼女の死でおわる話は、同じ時代を生きる「二十歳の原点」にも通じる感じだった。監督の 帯盛迪彦は、「高校生ブルース」などは取り上げられるが、この映画があまり取り上げられないのは私は不満である。ヘルメットをかぶって学生運動に入る梓英子の姿が印象的に記憶に残る。大映も倒産に向かいつつある時期、この映画、観たという人にあったことがない。本当にもう一度見たい一本である。

「ヘアピン・サーカス」

五木寛之の原作を西村潔監督が演出した1本。事故で自動車教習所の教官になった男と、生徒の高速でのトライアルレースの話。原作が好きで、映画があると聴き、当時、是非見たかった一本だ。主演が三崎清志という知らない役者だったが、相手をする美女が江夏夕子というのは、なかなかそそる感じだったが、結果的には、当時の日本映画で、そんな弾けた映画が撮れるわけもなく、撃沈感がある一本。私は五木寛之の初期作品にすごい魅力を感じて読んでいたのだが、当時、それを映画にちゃんとできたものは一本もなかった気がする。この話など、再度映画化してもいいと思ったりもします。

「鉄騎兵、跳んだ」

佐々木譲の原作を小沢啓一監督が、久々に、にっかつで撮った映画。石田純一の映画デビュー作。当時、この映画を見る限りは今の石田のイメージはない。彼を追いかける女の役が熊谷美由紀(後の松田優作夫人)であるのは、なんか、すごいキャストだなと思う。モトクロスの世界を描いたこの作品だが、作品的にも興行的にも撃沈だった。にっかつがアクション映画というものを撮りたい!という気持ちは理解できたのですけどね。

「キューポラのある街」

多くの人が知っている、吉永小百合出世作。浦山桐郎監督のデビュー作だ。この時、映画館で観るのは2回目だったと思う。今に至るまでビデオも含め10回は見ているが飽きない作品だ。この映画に出たことで吉永小百合は左翼になったという人もいるほど、印象的な世の中に対して怒る映画だと思う。今観ても考えることは多い。そして、貧困者や差別問題が渦巻く今はこの時代に似ているところもある。早船ちよの原作も見直されるべき時のような気もする。川口の街の変わりようにいろいろ思うところもあったりします。

「祭りの準備」

黒木和雄監督の傑作をこの時、初めて観る。脚本家、中島丈博の自伝と言っていいこの作品。脚本家目指しながら信用金庫に勤める江藤潤の周囲の人々が面白い。原田芳雄や杉本美樹、タマミちゃん役の桂木梨江など、こういうキャラが忘れられない映画だ。竹下景子の初々しさから性に目覚めてしまう女には笑ってしまった。そして、ラストの原田芳雄の「万歳」がこの映画の全て。久々に見直したくなってきた。

とにかく、青春映画というジャンルはあるようで無い気がするが、私は若い未来がある人々を撮ることが映画の本質のようにも思えるのです。死ぬまで、そんな映画を観続けたいと思ったりもします。



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