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「あの頃、文芸坐で」【16】「エロチックな関係」内田裕也と加山麗子のお洒落アクションポルノ

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前回の次の週のプログラム。この時は「エロチックな関係」(長谷部安春監督)「錆びた炎」(貞永方久監督)を観ている。加山麗子という女優さんが結構好きで、みたかったものをやっと観た感じだった。

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コラムは「ル・ピリエ開場一周年」という話。ル・ピリエは劇場というには、不思議な空間だった。扇型?の空間に階段状の客席。そして、二つの大きな柱があって、観にくい席もあったりする。言うなれば変形劇場だった。元々、演劇を観る週間はなかったので、ここで演劇を一回観たかもしれない記憶はあるが、ほぼ映画を観た記憶であった。今なら、ソーシャルディスタンス取れないで開場できない感じだったかもしれませんな。それを言ったら、当時の文芸坐の席は狭くて硬くて、ソーシャルディスタンスとるには中3席くらい空けなきゃ成り立たない感じのもの。まあ、映画館なんて詰め込むものだったですよね。そういう意味では、今の映画館は高級すぎる気もいたします。

そして、オールナイト「高橋洋子in 文芸坐」。しかし、生のコンサートと映画三本で、前売り1000円って素敵な価格ですよね。普通のコンサートも3000円くらいでしたものね。エンタメって、そのくらいの価格で庶民が誰でも楽しめるものじゃないといけないと思うんですけどね。価格が高くなってしまったのは、様々な問題はあるのでしょうが、ホールを建てる時から金がかかっていたりして、なんか空気みたいな費用が多すぎるのでしょうな?昨今の電通の中抜き作業を見ればよく理解できるところです。本当にダメな時代になったと思います。大衆のためのエンタメが富裕層に食い荒らされるのは、本当に醜い!

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プログラムは文芸坐は、スティーブ・マックィーン特集で「大脱走」と「荒野の七人」の二本立て!これは今やってても観に行きたいよね。こういうプログラムが、スッとできてしまう時代は本当に良い時代だったと思います。

文芸地下は、ミステリー・フェアのあとで「桃尻娘」2週連続!「九月の空」は石野真子の唯一主演の映画。とはいえ、当時の山根成之監督の映画は今観ると、かなり恥ずかしい感じがする。多分、この監督は、デジタルで撮ったらもっと良い映画が撮れた人だと感じます。

そして、オールナイトも「小原宏裕監督特集」で桃尻娘3本に、監督唯一の一般映画「青春PARTII」もついて、お買い得であります!この時期が小原監督の旬であり、「青春〜」は競輪映画であり、結構好きな映画だった。競輪って今やオリンピック種目にもなり、映画にするにはいい題材だと思うんですよね。だいたい、オリンピック今年行われる予定だったのに、その関連の映画が作られていないのは、少し不思議ですね?話は飛びますが、モスクワオリンピックの時「甦れ魔女」などという映画を作ってしまって、惨めだった話がありましたっけ…。

でも、映画監督がギャンブルやる感じではなくなってきたしね、映画業界も無頼かんがなくなって競輪の世界を撮れる監督もいない気はすますね。

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そして、この時に観た映画。「錆びた炎」に関しては、そのタイトルの存在は覚えているものの全く内容も画も記憶にない。それくらいの映画だったのだとは思うが、とりあえずデータベースで確認すると、病院での誘拐の話らしく、原田美枝子が犯人という話らしいのだが、やはり記憶がない。原田美枝子の映画は結構、まともに観ていたと思うのだが、40年前の記憶とはそんな部分も多々あることがわかる。まあ、いらない記憶だったのでしょう。

「エロチックな関係」。内田裕也主演、長谷部安春監督のロマンポルノであり、1992年にやはり内田裕也主演で若松孝二監督でリメイクされた作品である。

調べると、内田裕也はこれが出演ロマンポルノ三本目。ほぼ、主役(会社的には主演、加山麗子)の作品である。この後、内田裕也は日本映画史に残る作品を作っていくのだが、この作品はその助走と言ったところ。

話の詳しい筋はあまり覚えていないが、探偵もので、画面の雰囲気も音楽もお洒落に感じていた。長谷部監督のロマンポルノは、バイオレンス系の印象が強いが、これは、少し日活アクションにある探偵もののテイストも持っていたので印象深い記憶がある。

そして、内田の妻役の加山麗子は、ロマンポルノの女優の中では、それほど作品を残していた人ではないが、その容姿、雰囲気が好きだった女優さんだった。ロマンポルノの女優さんの中には、その印象だけで記憶に残っている人も多い。その辺りは、やはりそれが裸体を見せる映画であったことは事実であり、大学生の私としても、そこは重要だった。AVなどない時代、男のユートピアだったわけだ。だからこそ、こんなもの映画として数えるな!という人も多かったし、全くこの世界を通り過ぎていない人も多いのである。だから、私の書いてるこの記憶が、一般人のものではないということは知っておいて欲しい。ロマンポルノやピンク映画の映画館は、今では説明もしにくい異空間ではあった。それは、後日、いろいろと…。

映画の話に戻る。ある意味、後にリメイクしたいと、内田裕也が思う映画だったのだ。雰囲気的には、後の松田優作の「探偵物語」に通じるものがあった気がする。そう考えると、日活アクションの残り香は、80年代になっても残っていた。今はない、トッポイながらクールな感じ。ある意味、私が今も日本映画に求めているのはこの辺のテイストなのかもしれない。ちょっと、もう一度、見直したくなった。内田裕也の映画を語るなら、観なければいけない1本と言ってもいいと思います。



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