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「その女、ジルバ(第2話)」池脇千鶴の三様の演技がドラマの厚みを作る

2回目は、ソーシャルダンスを習うことで、暗い女から脱出する主人公、新を描く。こういう変身芝居は、日本人がやると、絶対に取ってつけたようなものになってしまうのが多い。いわゆる眼鏡っ子がメガネを外すことで美女になるとか、かつらを変えての芝居とか、表情や細かい芝居でそれをやるのではなく、小道具に頼ることが多いからだろう。だが、ここでは、池脇千鶴が流石の芝居をしている。

初回から、池脇のおばさんの姿に、「歳とったなー」と思った人も多いと思うが、ここが芝居だったわけで、ダンスを覚え、姿勢が良くなり心も明るくなる姿は、醜い芝居の後で見事な変身シーンになっていた。まあ、これができるのが歳の功なのだろう。

ダンスを教えにくる、マスターの娘役の華村あすかなどは、明るい役ができても、暗い役はできないだろう。それを考えると、40歳の女優の演技は凄みがある。華村あすかは「宮本から君へ」での演技が光っていた若手だが、その明るい姿はもっと使われていいはず。芝居はまだまだですが、雰囲気的には期待しています。

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そして、池脇は、今回最後に、この店を作ったジルバママも演じている。上の写真のようにボケ気味で照明も暗い感じだが、3人目の池脇千鶴をしっかりと演じているのは流石である。先週も書いたが、池脇あってのこのドラマなのだろう。そして、草笛光子の視線が優しく重みがある。こういうお店なら働いてみたいと思う人も結構いるのではないか?リアルなこういうスナックはこんなにおしゃれな会話はないだろうけどね。

店は夢の世界とすると、職場は現実の荒波。そこの描き方もなかなかであり、ホストに血迷っていると勘繰る江口のりこが、全て持っていっている感じがする。弁当タイムに隠れて監視しながらバナナを食べるシーンは毎回入れていただきたい。やはり、江口のりこはこういう役が光る!

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現実の社会は、コロナ禍で、40歳くらいの女性で仕事に生活に悩んでいる人も多いだろう。このドラマは、ママとマスターが戦災孤児であったというルーツがある。現代も、同様に何もないままに放り出された人も多いだろう。そういう意味では、こういう起死回生のドラマを作ることはとても重要だ。そう考えれば、ドラマは不要不急なものなどではない!

ここに出てくる、ホステスたちが素敵なのは、過去をいろいろ背をいながらも、この店の中で、楽しんで輝こうとしているところにある。だから、客達も明るい対応をする。今日出てきた、新しい暗めの常連客は、これから新と何かエピソードがあるのだろうか?ちょっと気になりますね。

来週の主役は中田喜子さんなのでしょうか?ホステスそれぞれの主役の回でさまざまなことを描けそうですね。そういえば、今日の回で、みんなの古い写真が出てきましたが、みなさんお綺麗なこと。だから、今があるのでしょうけどね。

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