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ロマンポルノと対峙した日々(「あの頃、文芸坐で」外伝)【7】三崎奈美のキュートさが好きだった「単身赴任 情事の秘密」「もっと激しくもっとつよく」「グレープフルーツのような女 性乱の日々」

昨日書いた文芸坐で「陽のあたる坂道」を観た次の日、1981年7月11日。牛込文化で三本立てを観る。牛込文化は、ぴあでロマンポルノをやっている近場の劇場を探していて気になっていた小屋である。(映画館を小屋と呼ぶ感じが好きである)。地下鉄神楽坂駅から早稲田方面に3分ほど歩いたところにあった。まあ、場末の映画館の雰囲気がある小さい小屋だったが、それだけにロマンポルノがよく似合っていた気もする。気に入ったのか、この4日後に再度訪れている。こう、文章を書いていると、スペースや臭いの記憶が蘇ってくるからたまらない。

「単身赴任 情事の秘密」(白井伸明監督)

三崎奈美という女優は、ロマンポルノで最も形の良いおっぱいの持ち主だったと思っている。そして、目のクリッとしたチャーミングな女優であった。特にコメディーが多かった気がするが、そういう作品がハマった女優さんだ。デビューは東映の「処女監禁」という変態ポルノだが、やはりロマンポルノの主演女優というイメージが強い。そして、それなりの色香で芝居ができていた人なので、結構ファンは多かった。主演作も結構な数があった気がする。話は全く覚えていないが、資料を見ると、化粧品メーカーの社内不倫の話で、最後は不倫がうまくまとまって終わる話だったらしい。まあ、三崎奈美の映画は三崎奈美を見るためだけにあった気がする。大体、監督が白井伸明という時点で、映画の中身には期待してはいけないという不文律は私の中にあった。

「もっと激しくもっとつよく」(田中登監督)

田中登監督は、この辺りから、ロマンポルノの作品の出来はあまりよくなくなっている。この時は、往年の主役、川村真樹と、「狂い咲きサンダーロード」の山田辰夫の共演ということで、期待してみた覚えはあるが、殺人ゲームのような話だが、結果的には川村の身体に溺れた山田が報われないという話だったようだ。脚本は鹿水晶子。当時、ロマンポルノにも女性の脚本家が増えてきた頃で、それにより少し変わったものができ始めていったということはあったと思う。だんだん、ポップに変貌していった感じだった。

「グレープフルーツのような女 性乱の日々」(沖山秀子監督)

沖山秀子といえば、今村昌平「神々の深き欲望」に出ていた女優である。その彼女が脚本監督した唯一のロマンポルノ。とは言っても、製作は「プロダクション鷹」の買取り作品。ということで、主役はスキャンティーズの北原理絵だが、珠瑠美や和泉聖治監督が役者で出ていたりする。話は、ジャズミュージシャンと恋に落ちた女が、彼が海外に行ってしまい、荒れた生活をするうちに、彼への想いがなくなってしまう話。どこがグレープフルーツなのかはよくわからなかった覚えがあるが、この題名は結構好きである。

多分、この日はあたり0の日である。田中登作品は、それなりに観られるものだったらしいが、三崎奈美の裸体だけが救いだったという感じだったのだろう。実際には、裸で興行が成り立っていたわけだから、それでいいということなのである。

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