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ロマンポルノと対峙した日々(「あの頃、文芸坐で」外伝)【13】寺島まゆみ、聖子ちゃんイメージ全開「宇能鴻一郎の開いて写して」「制服体験トリオ 私熟れごろ」「ひと夏の体験 青い珊瑚礁」

1981年の9月19日「高田馬場東映パラス」で寺島まゆみの三本立てを観る。この当時、松田聖子はデビュー2年目にして、トップスターの座にいた。この頃歌っていたのは「白いパラソル」や「風立ちぬ」そのメロディーだけで時代が蘇ってくるし、何かグリコのチョコを食べたくなったりもする。「青い珊瑚礁」は松田聖子の二曲目の歌であり、彼女がスターに登った歌である。その一年前の曲を題材に、ロマンポルノの聖子ちゃんが挑んだ作品が「ひと夏の体験 青い珊瑚礁」。もう、にっかつも必死で寺島まゆみを売ろうとしていた感じはある。そして、この映画の監督は今はなき池田敏晴監督が作ったもの。松田聖子がいまだ現役で歌っていてくれる限り、この映画も語り継がれるだろう(そんなことはないか?)と思いながらこの項を描こうと思う。

「宇能鴻一郎の開いて写して」(西村昭五郎監督)

西村昭五郎作品に関しては、出来は標準かそれ以下ということは理解していてみていた。時代はアクションカメラブーム。とはいえ、今のようにスマフォで写真が撮れる時代でもデジタルで撮れる時代でもなかった。いわゆる盗撮ブームであったのだ。その当時もそれは犯罪だったのだが、趣味雑誌があったりしてイカれた時代であったことは確かだ。そんな中、寺島まゆみのような標準的な容姿の娘が標的になっていることは多かっただろう。そんな時代のたわいもないコメディである。なんとなく覚えているが、今、あらすじを読んでもどうでもいい作品だ。

「制服体験トリオ 私熟れごろ」(西村昭五郎監督)

以前にこのスキャンティーズ映画に関しては書いた。この日は2回目。記録に残っている評価は、この日も最低ランク。この日は西村監督の出来の悪い二本を続けてみた日だったようだ。それで2時間半弱耐えられたのは、寺島の裸体があってのことだったのだろう。

「ひと夏の体験 青い珊瑚礁」(池田敏春監督)

この日のメインは、最初に書いたようにこれだったはず。松田聖子のヒット曲などかかるはずもないが、その題名を平気でタイトルにし、ロマンポルノの聖子ちゃんと称した寺島まゆみに演じさせる。こういうことが平気でできた時代が懐かしい。そして、この映画、私のロマンポルノの最大のマドンナである倉吉朝子と、こちらも好きだった朝霧友香が共演。話は、ボーイフレンドとの喧嘩の末の感傷旅行の話だが、沖縄の青い空だけが印象的だった。そう、この地ではポルノも浄化してしまうようなところがある。そういう意味では、明るいイメージのロマンポルノだった。池田監督の演出はここでは特に語るものではなかったが、監督の映画にしたら明るいイメージの作品でしたね。そして、寺島まゆみは、この頃には、もうがっちりとローテーションを守っていましたものね。

寺島まゆみ、今考えれば、松田聖子に似ているとことなど全くないのだが、聖子ちゃんカットというのがあって、それが似せられただけだったんだよね。でも、愛嬌があって良い女優さんでしたというイメージが私の脳裏にこびりついている。

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