脱線日記2023/10/27

母に手を引かれて大阪府立中之島図書館に来た。
なんとなくドーム状の建物に原爆ドームが想起されて不安な気持ちになった。

この頃の建物をレトロ建築と呼んで巡る人が最近多いらしい。
来る人来る人蘊蓄を語ったりしながらふむとかほぉとか言っている。何にそんなに感心しているのか全く持ってわからなかった。
図書館に来て本に目を通さず上ばかり見上げるのも変な気がしたが、
入ってすぐ、上を見上げたときの色ガラス越しに陽の光が差し込むのはキレイだと思った。

 調べたら原爆ドームと呼ばれる広島県産業奨励館の竣工は1915年、大阪府立中之島図書館は1904年とそんなに離れていないのでドーム状や特有の雰囲気は当時の流行りかも知れない。
(きちんと調べてはいないが、同時期の建物に多い気がする。)
特有の青みがかった薄緑のドア枠や金属の手摺どれが当時のものなのかは分からないが9年の差とはいえ今なお美しさを鑑賞される建物と、惨禍を伝える建物と明暗が別れてしまっているのも悲しい気がする。
もし残っていれば、褒めそやされる建物だったのか、
もしくはよくある建築物の一つとして、もしくは震災や火災などの他の原因で取り壊されてしまっていたのか分からないが焼け落ちる前の産業奨励館を見てみたかったなと思った。 

中之島図書館には文神像と野神像がある。
北村西望氏によって手掛けられ片方は広げた書物に目をやり人間の知性を片方は前方を凝視し野生を表しているそうだ。
北村西望氏の代表作に長崎の「平和祈念像」があり、なんだか変なものを感じた。

ちょうど「大阪大空襲と戦時下のくらし」の展示をしていたので覗くと大阪に7/26に模擬原爆が落とされたことを初めて知った。
 太平洋戦争と聞くとヒロシマ・ナガサキ沖縄がピックアップされがちだが、どこの街も無関係ではいられないと改めて感じた。

ニュースをつければ今現在行われている戦争が映し出される。チャンネルを変えればハロウィン特集を組んでいる。
気持ちの参っている今下手にマイナスな情報を入れるのは得策ではないのは百も承知ではあるが、
ハロウィン特集を流し見ている間に戦争の足音が真後ろに迫っていることに気付けなくなってしまうのもまた怖いと思う。
全てのチャンネルが戦争のニュースばかり何も問題だが目先のイベントの明るい話題ばかりなのもなんだか目を塞がれているような心地がした。

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