【日本神話と神道の成立】

 アフリカ大陸でホモサピエンスが生まれたのに伴い、ゴンドワナ型神話やアニミズムを伝え、世界中に広まり、東アジアに祭天の古俗が普遍的に広がり、38000年前には旧石器人がそれらを伴って日本列島に渡来しました。長江流域の照葉樹林文化のアニミズムが日本列島に伝わりました。
新石器時代以降、西アジアで文明が生まれたのに伴い、メソポタミアから諸民族がローラシア型神話や祖先信仰を伝え、アジアやオセアニアに広まり、各地のゴンドワナ型神話やアニミズムは滅ぼされ、縄文アニミズムなどが局地的に残りました。
 古代ギリシアではオルフェウスの黄泉国神話を伝え、それがイラン神話やスキタイ神話やアルタイ神話やツングース神話に変形し、鳥トーテムを伴って遼東半島に伝わりました。長江下流では南方倭族が長江文明を営み、鳥居や蛇神信仰やしめ縄や天岩戸神話やヤマタノヲロチ神話や海幸山幸神話などを営みました。東シナ海沿岸では北方倭族=海人(あま)族が国生み神話を伝え、黄海沿岸に広がって、遼東半島で華北人やツングース人と混血して、遼河人となり、アルタイ系建国神話やタカミムスヒ信仰や黄泉国神話を学びました。
 弥生時代に北方倭族=海人族は朝鮮半島から更に済州島や対馬に渡来して、国生み神話やアルタイ系建国神話やタカミムスヒ信仰や黄泉国神話ももたらしました。南方倭族は済州島や対馬にも渡来して、倭人=渡来系弥生人になり、鳥居や蛇神信仰やしめ縄や天岩戸神話やヤマタノヲロチ神話や海幸山幸神話などをもたらしました。北方倭族=海人族は加耶~対馬に天国(あまくに)を建て、天国の天照(あまてる)王の子孫は出雲王国に国譲りを要求して攻撃し、国譲り神話になりました。天国のニニギ王が北九州の日向(ひなた)峠に上陸し、支石墓の諸国を服属して倭国になり、天孫降臨神話になりました。倭国の大乱で倭国から一部の末端勢力が追い出されて東征し、奈良盆地の銅鐸勢力を滅ぼし、飛鳥川の扇状地にヤマト王国を建てて、2世紀後半に神武王になりましたが、69才位で死に、春秋暦で享年137歳とされ、神武東征神話になりました。
 高句麗の積石塚が駕洛古墳群になり、高句麗からの渡来人は出雲に方形墳をもたらして、四隅突出型古墳になりました。高句麗からの渡来人が倭国に古墳文化や三神界思想や「三種の神器」制度をもたらし、倭国は平原1号墳に三種の神器を祀りました。新羅からの渡来人が祖先神型の神道や神籬(ひもろぎ)ももたらして神社の元になり、天日槍神話になりました。委奴国は那珂八幡古墳を、吉備王国は浦間茶臼山古墳を、阿波忌部王国は萩原2号墳を営んで、前方後円墳の源になり、碁盤型支石墓は竪穴式石室になりました。高句麗や百済からの渡来人が倭国に横穴式石室をもたらし、鋤崎古墳や老司古墳になりました。高句麗や百済からの渡来人が倭国に装飾古墳や直弧文や石人・石馬をもたらしました。倭国は沖ノ島でも祭祀しました。朝鮮半島からの渡来人は神話を家伝として持ち込みました。
 飛鳥時代にヤマト王国は神輿に神を乗せ、大工や神官や巫女を連れて進軍し、古墳の諸国を征服し、横穴式石室を破壊し、八幡などの神社を建て、本殿の周りに巨石の遺構が多く残りました。神社は稲荷や浅間や明神や八幡などの系統ごとに建物の様式が決まっていて、国家的事業で一斉に建設されました。ヤマト軍の進軍の名残がお神輿ワッショイになりました。ヤマトは伊勢平野の渡会氏に伊勢神宮の内宮を作らせて、皇室の祖先神のアマテラスを祀らせましたが、渡会氏は自分の祖先の古墳のすぐ下にも外宮を作って祀りました。ヤマト王国は諸氏族に家伝を献上させ、諸氏族の祖先神を天照の子分の神々として序列化し、「古事記」「日本書紀」を著し、諸家伝を焚書しました。
 
 ニニギ王以後の神話は架空の創作ではなく、史実の反映、歴史の古代的表現で、史料です。
大日本帝国は学校教育で神話を史実として押し付けていました。そこへ津田左右吉が日本神話はでたらめの作り話だといって弾圧されました。日本国は皇国史観への反省から、学校教育で日本神話については「古事記」「日本書紀」の題名位しか教えなくなりました。
 だが1970年代から神話の系統などの研究が進み、倭国と出雲の戦いが国譲り神話になり、朝鮮半島からの天孫族の渡来が天孫降臨神話になり、倭国の大乱の一部が神武東征神話になったなど、元の歴史的事実が明らかになりました。神話は信じる物から研究する物に変わりました。
 
篠田謙一『人類の起源』
宇佐美静治『新・人類の起源』
印東道子『人類の移動誌』
マイケル・ヴィツェル『世界神話の起源』
後藤明『世界神話学入門』
久米邦武『神道は祭天の古俗』
大林太良『神話の系譜』
鳥越憲三郎『古代中国と倭族』
     『古代朝鮮と倭族』
安田喜憲『日本神話と長江文明』
井上秀雄『古代朝鮮』
別冊人物読本『渡来人』
NHKスペシャル『日本人はるかな旅』
金錫亨『古代朝日関係史』
金達寿『古代朝鮮と日本文化』
   『日本古代史と朝鮮』
上田正昭・井上秀雄『古代の日本と朝鮮』
井上秀雄・旗田巍『古代日本と朝鮮の基本問題』
梅原猛『葬られた王朝』
澤田洋太郎『伽耶は日本のルーツ』
石上?『先代旧辞本義』
畑井弘『物部氏の伝承』
宝賀寿男『天皇氏族』
李鍾恒『韓半島からきた倭国』
九州古代史の会『「倭国」とは何か』
古田武彦『日本古代新史』
    『古代の霧の中から』
    『古代は輝いていた』
    『多元的古代史観』
上田正昭『日本古代文化の成立』
吉田敦彦『日本神話の源流』
    『日本神話のなりたち』
古田武彦『盗まれた神話』
太安万侶『古事記』
藤原不比等『日本書紀』
上田正昭『日本の神話を考える』
岡谷公二『原始の神社を求めて』
    『神社の起源と古代朝鮮』
岡田精司『神社の古代史』
戸部民夫『神社のルーツ』
 

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