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今年の甲子園は、12月までしっかり熱かった。

今年の甲子園は、12月までしっかり熱かった。


いい年した親父がユニフォームを汚したくて
無理やりヘッスラしてたのも、

深めにとんだフライやのに、足がもつれて
タッチアップ失敗してるのも、

ちょっとでも長く野球をするために、
全力ダッシュで攻守交替をしてるのも

全部ちょっとダサくて、暑苦しいほどに熱かった。



この熱さに心が震えた。
だから熱さが冷めてしまわないように、エンジンをかけっぱなしにして、私が感じたことをちゃんとここで残しておこうと思う。

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12月4日,5日。
マスターズ甲子園2021が行われた。
今年のテーマは

「今年の甲子園は、
12月までしっかり熱い」


なぜ私がこの大会について語っているかというと、私が所属するゼミの先生がこの大会の創始者であり、私の所属するゼミは大学の研究室以外に、「マスターズ甲子園大会運営事務局」という側面を持つからだ。

運営事務局の3年生、一番ペーペーとして運営にかかわらせてもらって、そんなになんもやれてなかったのに大会が終わるころにはしっかり泣いてた。

私はほんとに心が動いたときには涙が出る体質なので、本当の自分の感情を知るのは簡単。ほんとにこの大会にかかわれてよかった、心からそう思えた。


たぶんこの辺まで読んでくれた人は、「マスターズ甲子園」って何なん?ってなってると思うからちょっと説明させてもらいやす。

マスターズ甲子園とは?
全国の高校野球OB/OGが性別、世代、甲子園出場・非出場、元プロ・アマチュア等の壁を越えて出身校別に同窓会チームを組み、全員共有のあこがれでもあり原点でもあった「甲子園出場」で、白球を追いかける夢の舞台を目指そうとするものである。

➀元高校球児ならだれでも挑戦が可能
➁都道府県で代表を決め、勝ち上がった一校が甲子園で1試合できる。
③3回までは34歳以下、4回以降は35歳以上が原則出場


マスターズ甲子園のことを知る手段はたくさんあって、いろんなメディアにも取り上げられているし、TVにも出てるし、なんなら重松清さんによって本にもなってて、あと中井貴一さん主演「アゲイン」って映画にもなっちゃってるから、それを見てもらえれば魅力が十二分に伝わると思う。



でも、私の言葉だから読んでくれる人も、聞いてみたいって人もこのnoteを読んでくれる人の中にはいるかもしれないから、私が思う「マスターズ甲子園」の魅力について書こうと思う。

少し長いかもだけど、どうぞお付き合いください。




プレイボール前から、もうドラマがある

今年の開会式で選手宣誓を務めたのは2人。父と息子の親子である。
息子は高校野球102期生、つまり新型コロナウイルスにより甲子園という夢が消えた世代である。いくら励まされても楽しいことがあっても、本気で叶えようとしていた夢が突如として消えたショック、やるせなさは拭えなかった。


そんな中、マスターズ甲子園のことを知り、もう一度甲子園を目指す日々が始まった。同校のOBである父とともに母校のOBチームに所属し、県予選を勝ち上がり、ついにはマスターズ甲子園出場を決めた。



しかし、出場を決めたその日お母さんが亡くなった。大きな悲しみに包まれて野球どころじゃなかっただろう。
それでも、ずっと応援してくれていた天国の母に甲子園で戦う姿を見せたい。その気持ちで前を向くことができた、という。


2人の親子が選手宣誓をする手元には、母の遺影があった。

「昨年、春夏の甲子園の出場が途絶えた仲間、ご家族、指導者の方々のため、そして、ずっと応援してくれてた母のためにも、この聖地甲子園で全力でプレイすることを誓います。」

親子2人の声が早朝の甲子園に響いた。

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マスターズ甲子園のベンチでは、遺影や誰のかわからないユニフォームをよく見かける。
この年になって夢の舞台に立つことが、どれほど思いの詰まったことなのか。甲子園という土地にどれほどたくさんの人が憧れをもっていたのか。
遺影やユニフォームをを見て感じることが多々あった。

たくさんの人の思いが集まるからこそ、おじさんが主役という一見不思議な大会が、熱くてキラキラした場所になるんだと思った。






「諦めない」はかっこよくて泥臭いくて、美しい

マスターズ甲子園に出場するのは、若くて19歳、老いてて80代。
幅が広すぎる年代が出場する今大会でも、高校野球と同様でウグイス嬢は選手のことを「ピッチャー ●●君」とクン付けする。

選手の人と話していると、運営事務局の私よりマスターズ甲子園を知っていたり、そこらへんの大学生よりも日に焼けている人とよく出会う。そんな人たちに、どうしてなんですか、と聞くと、「俺ら何年甲子園目指していると思ってるねん。41歳高校31年生やぞ!」と返ってくる。



「甲子園」という全国の球児のあこがれの舞台。その夢はずっと心の中で途切れることなく燃え続けていた。
「夢、続投」そんなキャッチコピーがこの大会にはある。


いくつになっても熱くなっていい、
いくつになっても夢は色あせない、
言葉だけは暑苦しくて薄っぺらく感じるものが、この大会を通してみると、
とても美しいものに見えた。




「楽しんっでこーぜーー!!!」

この大会のすばらしさはなんといっても、「スポーツ楽しむ」ことが原点であることだと思う。普通の土日にも関わらず、全国から代表校のOBチーム(ほとんどの人が普通の社会人)が集結し、甲子園で試合をすることができるのもこの「とにかく楽しい」という気持ちが先行するからだと思う。

試合中にはベンチから、親父が「超楽しい」と叫んでおり、
とにかくベンチからのヤジには「楽しんでこう」という言葉が多い。


試合では、ほとんどのチームでベンチ登録選手「全員」が試合に出場する。大会のルールとして全員を出場させる決まりは全くないが、自然とその流れになる。監督が一生懸命打順や登板順に頭をひねり、試合終了間近になると「出てない人おらんなああー!!」という言葉が聞こえる。




試合に勝つためには、”動ける親父”を投入した方がいいのだが、そうならないのがこの大会の素晴らしいところ。


勝ち負けよりも
この死ぬほどおもろい「楽しさ」を全員で共有したいという思い
がとても強い。



勝利至上主義が蔓延する昨今のスポーツ界で、私はこの光景を見てとても微笑ましくなったし、これがマスターズスポーツのあり方で、私がもっと世界に広めたいと思うスポーツであると感じた。




来年も夢、続投します

このnoteでマスターズ甲子園の魅力がちょっとでも伝わったかなあ。伝わってたら嬉しいなあ。

こんなことを書いてるけど、今年の大会運営で私が手伝うことができたのはほんとにちょっと。完全に試合当日いいとこどりをさせてもらった。

今年、このすばらしさを教えてもらった者として、来年はもっと頑張らないと、この魅力を伝え続けないとと使命を感じている。


選手やマネージャーとして挑戦したり、
大会運営のボランティア、カメラマンとして参加してもらったり、
甲子園キャッチボールに参加してもらったり。

関わり方はたくさんあるので、少しでも多くの人がこの大会に参加してほしいと切に願っている。気になった人は連絡してね。






来年も、永遠の高校球児たちの夢を叶えるために、私は続投します。

がんばったことは、
きっと、
つながる

と信じて。




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