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ショートショート【片我 ーカタワレー】

僕には双子の兄がいる。


父と母と兄の4人で暮らしている。
僕は高校1年生。

兄はスポーツができて中学校の頃はサッカー部のキャプテンをしていた。それに加えて僕より勉強が得意だが愛されるような天然さも持つ。
いつも学校の中心にいるような存在で、みんなの人気者なのは見ていて分かる。おそらく女の子からもモテモテだ。

僕はそんな兄と同じ高校に通っている。

そう、いやでも血の繋がりがあることはバレるのだ。

しかし僕はそれをいやだと思ったことは1度もない。

むしろ逆で、こんな兄をもっていることを誇り、自慢する。

想像通り、比べられることはままある。だが兄のようになりたいと思うことはあっても、彼を妬ましく思ったことはないのだ。

綺麗事を言っている訳ではなく心の底から頑張っている兄を尊敬している。

兄はいつも一生懸命にボールを追いかけ、
一生懸命に机に向かい勉強し、
誰よりも一生懸命に学校生活を楽しむ。

なぜそこまで一生懸命になれるのか気になって兄に尋ねた。

兄は優しく言った。

「弟の分まで全力で生きたいから」






僕には双子の兄がいた。


彼は兄と一緒に歳を重ねるはずだった。

お兄ちゃんと呼ぶことのできなかった兄。

兄が一生懸命生きる限り彼もまた生き続ける。

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