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"オタメシカノジョ" ~Afterword~

__久しぶりの長い階段を昇りながら思う。


どんな気持ちだったのかな、と。


階段の先、重い鉄の扉の向こうには彼女が待っている筈だ。


扉に掛かる私の手は、緊張で震えている。



勇気を出さなければ。


"あの時"の彼女の様に___

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"オタメシカノジョ"
~Afterword~

"トモダチ"
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薄暗い階段を昇りきり、重い扉を開けると真っ青な空。


和:んー...いい天気。


空を見上げて伸びをすると、今日の講義の疲れが抜けていくようだ。


スマホを見る。"約束の時間"10分前。


もうすぐここにやってくる。


数日前。"話がしたい"と彩を通して連絡があった。


あの子..."一ノ瀬美空ちゃん"から。


何の用かは分からないけど、ちょうど良かった。


美空ちゃんには私からも言いたいことがあったから。


__たぶん大丈夫。ケンカにはならない。


お互い気持ちの整理はついてる筈だから。


深呼吸して目を閉じると背後で扉が開く音。


美空:...こ...こんにちは...


おずおずと俯きながらこちらに駆け寄ってくる彼女。


和:...こんにちは。


なるべく威圧的にならないように、笑顔を作る。


美空:ごめんね...急に呼び出したりして...その...今日は...話したいことが...


和:...待って?先に私から話してもいい?


私は掌を翳し、彼女の話を遮った。目を見開きながらも頷く彼女の顔を真っ直ぐ見る。


和:...私...勘違いしてた。美空ちゃんの本当の気持ちも知らないで...酷いこと沢山言っちゃって本当にごめんなさい...これからは美空ちゃんの前にも顔出さないし...◯◯とも極力関わらないようにするから...


美空:...ナギちゃん!!!!


言い終わらない内に彼女は私の手を強く握った。目には涙が溢れている。


美空:ううっ...そんなこと...そんなこと言わんで...悪いのは私やけん...ナギちゃんは...悪くないの...私の方が...酷いこといっぱい言って...本当にごめんなさい...


目の前で涙を流す美空ちゃんを見て率直に思った。





__真っ直ぐな子だな、と。


泣いてくれるんだ。元恋敵のこんな私の為に。


"アイツ"が好きになる訳だ。


彼女に釣られて私も目頭が熱くなる。バレないように上を見上げると、そこには先程と変わらない広くて...美しい空。


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和:...じゃあ...おあいこだね。


美空:...えっ?


ナギちゃんは空を見上げて、笑った。


和:...お互いさ、言いたいこと言ったんだし...これでスッキリ終わりにしよ?美空ちゃんの言葉、すごく嬉しかった...ありがとう。


__なんて優しい子なんだろう。


素直にそう思えた。


__◯◯が好きになる筈だ、って。


私は涙を拭いて、持っていた紙袋から小さな包みを取りだした。


美空:...あのね...これ...ナギちゃんに。


和:...中、見てもいい?


頷くとナギちゃんは小さな包みを開け、ちょっと驚いたような顔をしてくれた。


和:...これって...


包みの中にはパークのキャラクターのストラップ。


美空:...こないだテーマパーク行ってきたけん...そのお土産...貰ってくれる?彩とお揃いにしたんよ...その...私とも。


和:...うん...もちろん...ありがとう...嬉しい。


目に涙をいっぱい溜めながらも笑うナギちゃんはすごく可愛かった。




___私が好きになっちゃいそうなくらいに。

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和:...もう!久しぶりに来たと思ったらまだ寝坊なんかして!


階下から聞こえる怒号に焦って階段を降りると、そこには美空と和の姿。


美空:...へへ、久しぶりのお寝坊さんやね。おはよ。


◯◯:...ごめんごめん...レポート手こずっちゃって寝れなくてさ...


和:...もう、あんまり"美空"に甘えてばっかじゃダメだよ?


美空:...ふふ..."ナギ"にも...ね?


顔を見合せて笑う2人。


あれから数ヶ月。これが毎朝の風景だ。


美空は相変わらず毎朝迎えに来てくれる。和もたまに一緒に。


美月:行ってらっしゃい、3人とも。


姉さんに見送られ3人で歩き出す。


和:...そうだ、美空...こないだ話してたカフェ、今日帰りに行かない?彩と3人で。


美空:えーっ!行く行く!やったぁ!パンケーキ!あっ...◯◯も行く?


和:ダメダメ!今日は女子だけで話すんだから!アンタはお留守番!


◯◯:...承知致しました。


美空:...ごめんね?今度2人で行こ?


腕に抱き着いてくる美空を見て頬が緩む。


和:...もう...ホントに美空は◯◯に甘々なんだから...


美空:心配しなくてもナギの事も大好きやけんね!


和:...ありがと。


美空:あー!照れてる♡可愛いんだから♡


和:やっ...私にまでイチャついてくるなぁ!


わちゃわちゃしている2人に肩を竦めながらも僕は笑って後を着いて歩く。


彼女たちの眩しい程の笑顔を見守りながら__



____________end.


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