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Real Faceが鳴り止まない。

イギリスに来て1ヶ月半くらい経った。
もう1ヶ月半。まだ1ヶ月半。
どっちの言葉も、考えただけでゾッとする。

まだ1ヶ月。
1つ1つ丁寧に思い出す余裕がないくらい怒涛な日々だった。渡航してすぐの1ヶ月目まではホームステイで滞在し、2ヶ月目からの住処は現地で手配だったので到着早々内見巡り。イギリスに着いて3日目で次の家の契約をした。
それに加え、勢いに任せて貧乏旅行レベルの資金で来てしまったため、同時進行でバイト探し。2週間後には働き始めていた。それを毎日、平日は語学学校に通いながら行った。

もう1ヶ月。
この国、というかロンドンという都市にいると、常に何かやらないといけないという強迫観念みたいなものに襲われる。自分と同じくワーホリで渡航したばかりの人たちに囲まれていることも理由なのだろうか。基本みんな、常に何かを探している。住居をはじめ、自分のキャリアに活きる経験を求めている人も多いため、コネや仕事も探している。そんな中、英語も赤ん坊レベルから進歩せずに、フリーターのまま2ヶ月が経とうとしている。

ロックンロールは鳴り止まないっ」とはよく言ったものだが、この2ヶ月ほど、私の場合は世代もあってか「Real Face」が鳴り止まない。ピンポイントでサビのみが常に脳内リピートされ、亀梨が永遠に舌打ちしながらウインクをしている。


ー「ギリギリでいつも生きていたいから」


全然、生きていたくない。
しかし、なにもギリギリなのは渡航してから始まったことではない。日本に置いていく全荷物の引越しに関しても、荷造りからマンションの退去対応まで2日で片付け、2年のワーホリに際したパッキングもほぼ一晩だったし、なんなら成田空港で飛行機に乗る直前も時間を見誤りガンダッシュしていた。ダッシュしながらボストンバッグの紐も千切れた。


自分でも意味がわからない。なぜこうなってしまうのか。子供の頃に想像していた30代ってもっと大人だと思っていたし、それなりに世渡りの術が成熟して時間の使い方にも余裕が出るもんだと思っていた。

乗り継ぎの仁川空港で呑気にウォーリーを探せ気分でアイドルを撮りまくった。人間、余裕がなくても浮かれはする。

…いや、多分本当はわかっている。全てに対して詰め込み癖があるからだ。内見とか仕事探しとか、長く期間をかけるのがしんどいと思ったものは一気に詰め込む。お金も欲しいからバイトも詰め込む。その上「いけるだろう」という根拠のない自信がある。その癖はもはや最近の話ではない、20代になってからずっと、気づくと脳内でReal Faceがリフレインしている。


ー「きっとアタマよりココロで考えるタイプ」

そろそろアタマで考えたい。


円安の国からやって来て、ポンドの洗礼に淘汰され心の余裕をなくし、「ギザギザで牙をむき出しながら」ロンドンの街を競歩で歩く毎日。己の人間臭さに鼻がもげそうだけど、いつか地に足が着いた「リアルを手に入れる」ことができるのだろうか。

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