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イスラーム教

【イスラーム教の成立と発展】
イスラーム教はユダヤ教、キリスト教と同様セム族(ノアの息子セムの子孫とされ、アラビアに現れます)の宗教として成立します。
南アラビアには元来独自の宗教(一神教)が存在していましたユダヤ教やキリスト教の広がりにより色々な点で影響を受けます。
イスラーム教の開祖ムハンマドの周囲にもこうした人物がいてムハンマドは強く影響されたと考えられます。
40歳を迎えた時、ムハンマドはメッカの東北のヒラー山の洞窟で大天使ガブリエルを通じて、アッラーの啓示を受けます。
自らを預言者としたムハンマドの布教活動はこうして始まります。
唯一の神アッラーはマン仏の創造主で慈愛あふれる全能の神です。また信仰熱い人間は最後の裁判の日に報われるが悪行は必ず罰せられるというのがその骨子です。そして聖典コーランにはムハンマドを通じて神が語った言葉が記されており、イスラーム教徒の日常・信仰生活を律しています。
イスラーム教はムハンマドの死後も広まり、現在では中近東を中心にアフリカ、ロシア南部からインドネシアまで及ぶ世界宗教となっています。現在イスラーム教は約12億人の人々に信仰されてます。
イスラーム教の豆知識
・左手にコーラン、右手に剣
征服した民族に強制的に改宗を迫った言葉とされますが、実際は一定の税金を払うことで信仰の自由も保障されていました。イスラーム教徒への敵意に基づくキリスト教の発明した言葉です。実態は「改宗か貢納か」でした。
・豚肉・飲酒は禁止
食物のタブーとして豚肉は禁止。そのほかの肉も正しい屠殺法に従ったものを食べます。飲酒は原則的に禁じられていますが国によって緩やかなところもあります。
・30日間の断食
イスラーム教徒ではイスラーム暦第9月(ラマダーン月)の30日間、日の出から日没までの間断食をします。この間一切の飲食はできません。夜は飲食できます。人間の最大の欲望である小欲を克己するのが目的です。

宗教が実生活と遊離していく傾向の中で、コーランの教えは日常生活の実践原理としてイスラームに深く根付いています。

キリスト教と同様にイスラーム教にも「この世の終わり」があります。ある日突然天変地異が起こり、人間は墓から暴き出され師の前と同じ姿で復活して神の審判を受けます。信仰厚かった者は天国は、無信仰者は地獄に送られます。最後の審判はいつやってくるかわかりませんが必ず来るあ。その時地獄に落ちないようにアッラーへの絶対的服従と信仰に基づく正しい行いが説かれるのです。

六信とは、六つの信じるべきこと。神(唯一神アッラー)・天使(神と人間の中間的存在としての天使)・聖典(コーランのほか、モーセ五書、イエスの福音書など。コーランは並ぶものなき聖典)・預言者(神の啓示を伝える者。アダム、ノア、アブラハム、モーセ、イエス、ムハンマドが六大預言者。ムハンマドは最後の預言者となる。)・来世(神の審判により信仰を持ち正しい行いをした者は天国へ、不義をなしたものは地獄へ送られる。)・予定(天命)(世界の出来事は全て神の支配を受けるよう運命付けられている)
五行とは、五つの信徒義務。信仰告白(アッラーの他に神なし。ムハンマドはその使徒なり。と唱えること。)・礼拝(人が神の前に己を低くし神の偉大さと栄光を讃える宗教実践。一日5回メッカの方向に向かって行います)・喜捨(宗教税・救貧税・所有する財産に応じて課税率が定められています。集められた喜捨は貧者や孤児や旅人に与えられます。)・断食(イスラーム暦9月に30日間の昼間の断食を行う)・巡礼(一生に一度のメッカへの巡礼。イスラーム暦第12月(ズールヒッジャ月)に行います。コーランに「この神殿(メッカのカーバ神殿)への巡礼はそこに旅する余裕のある限り人々にとって神への義務である」とあります。

礼拝は1日5回(夜明け、正午過ぎ、午後、日没、夜)の礼拝を行います。礼拝の前に水で手・顔を洗い、濡れた手で頭をこすり、そして足を洗います(水がない場合は砂や土で清めます)。「神は偉大なり(アッラーフ・アクバル)」と唱え、メッカのカアバ神殿の方角に向かって直立からお辞儀までの所作を行う。家庭など生活の場で行ってもいいが、休息日である金曜日には少なくとも一回のモスクでの礼拝が奨励される。

余談〜
明治時代末にトルコ軍艦が日本近海で遭難し日本はそれを救助しました。トルコ帝国は特使を日本に派遣して謝意を表します。同行したイスラーム教の宣教師が「日本人は生まれながらに十分にムスリムの資格がある」と言うと、大隈重信は「生まれながらのムスリムであれば今更教えを説く必要もないでしょう。」と答えたと言います。


ムハンマド:
はじめ商人としてかなり成功して、平和で幸福な日々を送ってましたが40歳を過ぎる頃から彼の心には不思議な変化が現れ始めいつしか彼は孤独と瞑想の時を求めるようになります。
そのようなある夜に、山の洞窟にこもって瞑想にふけっていた彼に、圧倒的な力が窒息寸前御状態になるまで彼を追い込み啓示を与えます。ふと我に返って、この予想外な出来事に驚きと恐れで動転し一目散に家に逃げ帰ります。悪霊に取り憑かれたに違いないと、妻の胸に取りすがりますが冷静沈着で大胆な妻ハディージャは恐れに震える夫を励まし、力付けただけでなく彼の体験が決して悪霊の仕業ではなく神アッラーの啓示であることを確信し、最初の信者となるのです。
彼はメッカで布教を始めますが、迫害を受けてわずかな動詞とともにメディナに移ります。
しかしその8年後には1万人の軍勢を率いてメッカを包囲、入城し多神教の中心地カーバ神殿の偶像を破壊します。占領しますが、ムハンマドは全市民を解放し席を問わなかったのです。そしてメッカ占領を契機にイスラーム教は異教徒を改宗させながら急速に周囲に広めていきます。

コーランとは、イスラーム教の聖典のこと。大天使ガブリエルによってムハンマドに伝えられた神の言葉の集大成で、信者がどのような生活を送るべきか細かく記されています。
イスラームとは神への絶対服従の意味でありイスラーム教徒はアッラーとコーランの教えを通じて「六信・五行」の宗教的生活を送ります。
偶像の崇拝は禁止されムハンマドの肖像はイスラームには伝えられていません。

もともとイスラーム教はキリスト教と同様ユダヤ教徒同根の宗教です。なので、天地創造・預言者・天使・終末・審判などの思想の面で共通するところも多いです。
イスラーム教ではモーセもイエスも神の遣わした使徒であるが、最後の使徒はムハンマドで聖典であるコーランが彼に啓示されたと考えるのです。


余談ー
ムハンマドはメッカ入場の際にアブラハムの像と、イエスを抱いた聖母マリアには手をつけなかったと言います。
いつ何時、ムハンマドの口から神の言葉が語られるかわからなかったので周りの人たちは常に木の葉などをもちそれに神の言葉を書き記したと言います。


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