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狭い広い世界

ああ、私はなんて狭い世界に生きているんだろう、と思わされた。

私は自分が好きなものが好きだ。
そして、流行りのものには斜めの視線を向けてしまう。私はみんなとは違うんだと言いたい。
より個性的であることが正義のような気がしていた。今もまだしているかもしれない。

あるとき、YouTubeで、あるバンドのライブ映像がおすすめに出てきた。
名前は聞いたことがあるような気がするなくらいの認知度で、でもなんとなーく聞いてみることにした。
ただ勉強から逃げるためだったとも思う。

泣いた。
泣いた=感動した だとか
泣いた=素晴らしい だとか言うつもりはないけど
すぐにそのバンドが好きになった。
ライブ映像だと、その人たちがどれだけ愛されているかが伝わってくる。どんなふうに愛されているかも伝わってくる。
そして、その人たち自身がどんな思いでパフォーマンスをしているかがとても分かる。
表情や歌い方や楽器の音で、こんなにもわかってしまうものなのかと思った。

そのバンドの曲を知っていくうちに、もともと知っていた曲がいくつもあったことに気づく。
そしてそのバンドは、メンバーの見た目が好みではないという理由だけで無意識のうちに私が避けていたバンドであることにも気づいた。
恐ろしい、恐ろしすぎる…

その人たちのドキュメンタリーを見ていくうちに、「人は見た目じゃないんだ」と思うようになった。
「人柄は見た目に表れる」と私はずっと思っていたし、たいていはそうであると今も思っている。

金髪だったりピンク髪だったり、派手なメンズメイクをしていたり。フリフリの衣装を着ていることがとても多い。
私はメンズメイク賛成派だけど、派手なメイクは男女問わず苦手だ。
だから避けていたんだと思う。
でも人は見た目じゃない。
そう、髪やメイクじゃないんだ。
判断基準にしていい「見た目」というものは、その人の表情だけなのかもしれない。

でも気づけば、彼らの顔すら大好きになってしまっている。
1度好きになったものは、なんだって受け入れてしまう。

「嫌いになった人は全部 少しの仕草でも嫌になっちゃう」 (我逢人)

彼らのインディーズデビュー曲の歌詞を引用してみたけど、真逆のようでいて結局はおんなじことだ。

ありがとう。
自分がどれだけ狭い世界で生きていたのかにようやく気づくことができた。
自分では広い世界に生きているつもりになって、私は人より何かを考えられる人間だという謎の自信をもっていたのは、もう過去の話。

「狭い広い世界」 (僕のこと)

その通りです。すみません。

好きになるきっかけさえあれば、たいていのものは好きになれてしまうものなのかもしれない。
売れているバンドというものには、売れるだけの理由があるのだ。
売れているから避けるのではなくて、売れている理由がわかるくらいまでには踏み込んで知ってみようと思った。
そこではじめて、好きか好きじゃないかの判断をしてみようと思った。

そのバンドは2年ほど前まで約2年間の活動休止をしていて、その休止中にメンバーが2人脱退している。
そして活動再開と同時に、今までにないくらいの派手髪と派手メイクをお披露目した。
だから、昔からのファンが「変わってしまった」と思うのは至極当然なのかもしれないが

彼らの音楽を聴いてほしい。
彼のつくる音楽は、彼のつくる音楽そのままだ。
そりゃ年齢を重ねることによる心情の変化はあるものだけれども、やっぱり根幹は変わってない。

優しくなりたい。
愛されたい。
報われないことはたくさんあるけど
この世は腐ってない。
あなたが幸せになれますように。

彼はずっと、こういう言葉を変わらずに伝えてくれているんだ。

最後に、彼らのつくった曲の中で1番好きな曲を紹介して終わろう。

「日々と君」 / Mrs. GREEN APPLE

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