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インシデントレポートってなんでかくの?こちら忙しいんだけど。

インシデントレポートとは?その重要性と記入方法

インシデントレポートは、医療やその他の業界で使用される、ミスや事故が発生した際に事実を記録するための書類です。特に医療現場では、患者の安全を守り、同じミスを繰り返さないようにするために、インシデントレポートの提出が非常に重要です。
この記事では、インシデントレポートの基本概念からその記入方法、そして実際の活用法までを詳しく解説します。また、看護師の経験からインシデントレポートの実態について詳しくお伝えします。


1. インシデントレポートの基本とは?

インシデントレポートは、事故やミス、ヒヤリハットと呼ばれる「重大な結果に至る前の事象」を記録する書類です。たとえ損害が発生していなくても、将来の事故やトラブルを防ぐために使われます。特に医療の現場では、患者の安全管理医療の質の向上に役立ちます。

🔹 インシデントとアクシデントの違い

  • アクシデント:実際に事故や損害が発生したケース

  • インシデント:損害が発生しなかったものの、潜在的に危険だったケース

たとえば、患者に誤った薬を渡してしまったが、服用されなかった場合はインシデントに該当します。


2. インシデントレポートの目的と重要性

インシデントレポートの最も重要な目的は「再発防止」です。事象を詳細に記録して分析することで、同じミスを繰り返さないための対策を講じることができます。また、ヒヤリハットの段階で問題を発見し、早めに対処することで、重大な事故を未然に防ぐことも可能です。

これにより、リスク管理の強化や組織全体の安全文化の向上が期待できます。


3. インシデントレポートの書き方

インシデントレポートを正確に記入することが、再発防止に繋がります。以下は、レポート記入時に注意すべきポイントです。

1⃣ 事実のみを記載する

  • 主観を含めず、事実に基づいて書きましょう。

    • 例: 「忙しかったからミスをした」ではなく、「〇〇時に薬を間違えて渡した」と具体的に記載。

2⃣ 時間と場所を明記する

  • いつ、どこでインシデントが発生したのか、正確な時間と場所を記載することが重要です。

3⃣ 関係者や状況を詳しく記載

  • どのスタッフが関与していたのか、どのような状況だったのかを明確に記録します。

4⃣ 改善提案を含める

  • 単にミスを記録するだけでなく、今後どうすれば再発を防げるかについての改善提案も含めると有効です。


4インシデントレポートの活用方法

インシデントレポートは、単に提出するだけではなく、そのデータを活用することが重要です。過去のレポートをもとに傾向を分析し、特定の業務や部門で頻発するミスに対策を講じることが可能です。

また、インシデントレポートはチーム全体で共有することが大切です。定期的なミーティングを通じて情報を共有し、組織全体での安全性向上に貢献できます。

チーズの穴理論をご存じですか?

チーズの穴理論」は、インシデントや事故がどのように発生するかを説明するためによく使われるリスク管理の理論です。これは、スイスチーズモデルとも呼ばれ、医療や航空業界、製造業など、さまざまな分野で使われています。

では、この理論を使ってインシデントがどのように発生するか、具体的に説明していきます。


1. スイスチーズモデルとは?

スイスチーズを思い浮かべてください。スイスチーズにはが空いていますよね。この穴は、組織内の弱点エラーを象徴しています。理想的には、いくつものチーズ(安全対策や防御策)を並べておくことで、どこかに穴があっても別のチーズがその穴をカバーして、問題が貫通するのを防ぐ仕組みです。
しかし、すべての防御策が完璧でないため、チーズの穴が一列に並ぶと、その間を通って問題(インシデントや事故)が発生する可能性があります。これが「スイスチーズモデル」です。


2. インシデントは防御策の重なりによって防がれる

このモデルでは、組織が持っている防御策や安全対策(チーズの層)が、インシデントの発生を防ぐ役割を果たします。たとえば、医療現場では以下のような防御策があります。

  • マニュアルや手順書(手順に従うことでミスを減らす)

  • スタッフのトレーニング(技術や知識の向上)

  • 複数のチェック体制(誤りを発見するための確認プロセス)

  • 機器のアラームや警告システム(異常を知らせる)

これらの防御策がうまく機能すれば、たとえ一つのミス(チーズの穴)が起きても、他の防御策がカバーして事故を防げます。


3. インシデントはどうして発生するのか?

インシデントが発生するのは、複数の防御策に存在する穴が一列に並ぶことが原因です。たとえば、以下のような状況が重なると、ミスが発生しやすくなります。

  • スタッフの疲労集中力の低下(ヒューマンエラー)

  • 機械の誤作動故障(機器の問題)

  • 不十分なコミュニケーション(情報伝達ミス)

  • 適切なチェックが行われない(確認不足)

これらの問題が同時に発生し、防御策が機能せずに「チーズの穴が揃う」と、最終的にインシデントや重大な事故が起こる可能性が高まります。


4. チーズの穴を減らすには?

インシデントを防ぐためには、この「チーズの穴」をできるだけ小さくし、並ばないようにすることが重要です。そのためには、次のような対策が有効です。

  • 防御策の強化:マニュアルやチェック体制を見直し、より確実な防御策を設ける。

  • スタッフの教育:定期的なトレーニングで技術や知識をアップデートし、ヒューマンエラーを減らす。

  • コミュニケーションの改善:チーム内の連携を強化し、情報の伝達ミスを防ぐ。

  • 報告文化の推進:インシデントレポートを積極的に提出し、問題を早期に発見して改善する。

この理論はインシデントを予防し、リスク管理を行う際に非常に有効です。次回、インシデントが起きた際には、どの防御策に穴があったのかを考え、それを修正することが大切ですね。
看護師の現場では、少しのことでもインシデントレポートをかいた記憶があります。例えば患者様の転倒。事実は患者様が転んだ、しかし発見者はわたし。「はい、レポート」という流れ。なんて理不尽な世界なんだと思いました(笑)しかも業務時間内にかけることなんてほぼなく、業務時間外にかいては上司のチェックを受けなければならないんです。しかし、そうは言っても患者様の安全を第一に考えるのがこの仕事。わたしの職場では他者がかいたインシデントレポートをチェックしなければならない決まりがありました。わたしはみるのが好きでした、自分もきをつけようという戒めにもなるからです。インシデント・アクシデントは起こすことで責め立てられるものではありません。重大な事故に繋がるのを未然に防ぐために活用していくものだと覚えていてもらえれば幸いです。


5. 専門用語の解説📚

  • インシデント:重大な結果に至らなかったものの、潜在的なリスクを持つ事象。

  • アクシデント:実際に事故や被害が発生した事象。

  • ヒヤリハット:重大な結果に至らない軽微なミスや事故の一歩手前の事象。

  • リスク管理:組織や業務で発生しうるリスクを予測し、適切に対応するプロセス。


まとめ

  • インシデントレポートは、ミスや事故を未然に防ぐための重要な記録である。

  • インシデントアクシデントの違いを理解し、適切にレポートを作成する。

  • レポートは事実に基づいて正確に記載し、曖昧な表現を避ける。

  • 改善策や提案を含めることで、同じミスの再発を防ぐ。

  • レポートの共有と分析を通じて、組織全体でリスク管理を強化する。


ハッシュタグ

#インシデントレポート #リスク管理 #ヒヤリハット #安全管理 #ミス防止

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