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自己陶酔はドラッグだぞ

YouTubeを見てたらサジェストでdaigoの動画か切り抜きかなんかが流れてきて、タイトルを読んで爆笑してしまった。
「本当はモテるのにモテていないと勘違いしている人の特徴5選」みたいなタイトルの動画だった。こういう、さもこれが正解みたいにズケズケと偏見を喋りまくる動画はあまり好みでないのであまり見ないのだけど、自己啓発だとしても、もう少し有益な事を話しているイメージがあったからだ。これって要は、自分がモテていると思いたい人が実際のところは何一つ変えることなく、認識を改竄して自己陶酔に浸る、以外に何の有益性ももたないデジタルドラッグなんですよね。
これは非常に危険だと思う。認知の歪みは勘が鈍るからだ。もちろん、そういう動画を作るのは収益構造として正しいしクレバーなやり方だとすら思う。だが、割を食うのはそれを間にうける哀れなる羊たちだ。動画作成者は認知が歪んだ結果、起こるあらゆる事象やリスクを保証しない。洗脳だとか妄信だとか、怨みの請求書の送り先があるのならまだいくらか救いはあるが、認知が歪んだ結果おかしな行動を起こす人間がいるとすれば、それはドラッグにハマって信用を失う人そのものである。

人はみなナルシストな一面をもっている。否定に対しては「いや!僕は正しいんだ!」と火鉢を掴むように脊椎反射してしまう。反対に自分の弱さや人に到底見せられないような恥ずかしい一面もまた、"知って"しまっている。肯定も否定も等しく難しいものだ。自信が持てない自分に少しでもよい思いをさせてあげたくて、人は着飾ったり、努力したり、周囲を否定したり、あがいたりもがいたり、色々だ。だがもし、何もせずにその認識を改められるとしたら?事実を一瞬で改変できるウルトラスーパースゴイ超大技があるとしたら?世の中そんな大技があれば、みんなバンバン発揮していると思うが、認知をチョット歪めれば簡単に実現される。価値の判断基準を上位存在に委ねてしまえばよいのである。いつも正しいことを言っているのだから、これもきっと正しいと。めくるめく肯定の甘美なトリップに出発する。そういうの好きな人ってバーナム効果とか確証バイアスとか"見抜いてる"の好きそうなのにね。

もはやそれは騙す、騙されるという次元ではなく快感を与えるスイッチのようなものだ。そういう動画に惹かれた時点で自分を慰めたいのだ。YouTube上でお喋りで稼いでいるような人間はそういう人間の脆さを見つけることに熟達している。人間の弱さ、自己愛、認知の"ゆらぎ"を熟知している。あとはゆらぎを大きな波にするだけだ。言語化できない人間の歯痒いところを絶妙な力加減で擽る!一時的には全て理解できたかのように錯覚させる!だが実際のところ、そんなことを何処かで雄弁に語ったって、自分は素晴らしい人間だと勘違いを起こしたって、人としての魅力は上昇していない。

女口説く時に、自分はモテないけど、本当の自分はモテる人間なんだよね、って言うんかいな。そういう、身も蓋もなさとか依存性とか構造がまさにドラッグと一緒だな〜と、タイトルを見て笑っているうちに思いました。別にそういう動画見ててもいいし、きっと役立つこともあるんだろうけど、自己陶酔の快楽に溺れないように気をつけようね。酔っ払うのはお酒で十分だからね。

己の勘で生きろ!!!


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