ところ変われば

銭湯を巡るというのを趣味にしだした数年前は、今のようなサウナブームも無く「男性陣は銭湯やサウナ好きですわねぇ」的な時期でした。
スーパー銭湯や温泉は女性陣にも人気ではあったような気はしますが、我が家の近所の銭湯も客不足でマンションになったりする程 男性の固定客が「家の風呂より広いところに浸かりたい」だの、社交だのというのが無ければ そうそう行くところでも無いと思われていたように感じます。

個人的にも もの心がついた頃には家風呂が定着しだして、思春期ぐらいには「朝シャン」とかが流行り始め、「神田川」※ のように「横丁の風呂屋」に風呂無しアパートに同棲カップルが行かなければいけないという時代でもなくなって来ていたように思います。

※「神田川」というのは「かぐや姫」の昭和48年という私の生年辺りのフォークソングです。懐メロとして知識が有りました。

きっかけが京都の銭湯に 後輩と飲みに行っていきなり入ることになったというもので、「酒をもっと飲みたいので冷ましに行きましょう!」と朗らかに宣言された後「じゃ、一時間後に!」と颯爽と男湯の暖簾を潜って行かれて放心しつつも とりあえず行くか…となったのが始まりです。
そのときに地元のお婆様に親切にしていただいたのと、酒どころ伏見の(恐らく)井戸水汲み上げそのままの温度の水風呂に衝撃を受けたという出来事からなので、水の良い銭湯というものは こんな良いものなのだよ、と夫氏に力説したのを思い出します。

今では 夫婦連れ立って「じゃ!×時に!」と示し合わせて銭湯に通うのが趣味と言って良い程になり、上がったあとで 男湯と女湯が それぞれどうだったかを語るというのが恒例行事になりつつあります。
巡り出した当初は、大阪市内では 女湯は時間帯にも依るけれど ほぼ貸切状態でした。
おかげで 「こんな広い風呂を独り占めじゃあ〜」と、非常に満喫させてもらったものです。

表題の通り、地域によって水質や客質や設備が色々と変わるのが 銭湯を巡るに当たり 面白いところではあるのですが、一応「みんな違ってみんな良い」では有ります。
そこまで全国を網羅した訳でも無いので あくまで私見では有りますが、いけずと評判(世間的にネットで見かけるレベルの話)の京都は良い銭湯が多いです。 お婆様方も非常に親切。
外国人や観光客が多いせいも有って 諸々の工夫や努力も随所に見られます。

同様なのが東京。中には因業ババアを絵に描いたような人物が番台に鎮座してたようなところも有りましたが、お客さんがよそ者に対しての人当たりが良い。
地元コミュニティー自体が「銭湯」というものが公共のものだということと、「地元客が変なことをしたら 経営に響く」ということが無意識にあるように思います。

奈良や北海道はのんびりしてて、何かの拍子に外部からの人が来ていると認識しても、余程 目に余る行為でもしない限り「人は人 自分は自分」ですし、遠方から来たと告げても、物珍しそうに世間話をして終了、ということが多い気がします。
脱衣所の軽い清掃を、客が率先してやってるようなほんわかしたところも多いので、学習した私も 自分が汚したり濡らしたりした場所を清掃するようになりました。
落ちた髪の毛を片付ける、とかぐらいの些細なことですが 女湯は長髪の方も多いので、個人で気をつけるだけで効果は大きいと思います。
(男湯ではそのような事象はほぼ無いという 夫氏談)

地元銭湯では 客衆にはそういう意識が無いものの、店員さんがマメに清掃する用に清掃用具を目立つ場所に置いてあったりするので、脱衣所が混んでなくて余裕があれば、ヒョイっと清掃する癖がつきました。
廃業にしたくなければ そういうことはとても大事だなーと奈良の銭湯に教えていただいた気がします。

水質は京都や奈良や北海道は流石によろしくて、井戸水などが利用できる条件が功を奏しているのでしょうが、各地水道局は上水道にはしっかりと塩素を添加しておられるので(衛生管理としてはとても大事ですし 新型コロナ蔓延下やレジオネラ菌のことを考えても 安心安全とすら思う塩素臭)そこは文句を言う筋合いでは無いような。

反面と言うのは何ですが、兵庫では客衆がとんでもなく合わなくて。
一箇所訪問したきり、次回に踏み出せないところが有ります。
温泉を売りにしている銭湯も多いようなので、良いところも有るのでしょうが、「ご高齢」と称されたら激怒りしそうな年代(具体的に言うと60代後半から70代半ばぐらいのマダム然としたオバハンです)が横行してて辟易とした記憶が有ります。
神戸市内に限定した話では有るのでしょうが、「温泉」ではなく「銭湯」なので、あんたらの勝手な都合で「公衆浴場」を私物化しないで頂きたい。(その年代がやりたい放題してたので 懲りてしまいました)
尼崎辺りでは また違ってくるのでしょうが、今の所「神戸は鬼門」となっています。

2.26の本日は 京都某所で「ボンタン湯」を頂いてきまして。
地元のお婆様にも良くして頂き(3月2日に83か84になるらしい婆様 ただし「化粧は落として入ってください」との店側の張り紙に反してガッツリ化粧をしたまま浴室にinでしたが)満喫してきました。
化粧自体は 風呂で流す方も多いかと思いますし、落とさないまま湯船に顔面を浸けるでもなければそこまで問題でも無いと言う客側の感想ですが、店側としては排水などへの影響も有るんでしょうなぁ、と推察。

ただまぁ、20代と思しきお嬢さんが、アイラッシュコートっぽいものを浴室で塗りだしたのは 若干引きましたけどね…。

色んな場所に行けば 色んなことが有るなぁと 改めて実感した風呂でした。

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