マガジンのカバー画像

金木犀の木の下で

21
金木犀の木の下で餅を焼く男の詩集
運営しているクリエイター

記事一覧

無題

空の旅に出かけよう そう決めてから歳月が経った そこに湧き起こる二人のビジョンを待つのを…

らまん
2か月前
1

さか井にて

朝、穏やかな波の上で行き交う船たち 彼らは何を思うだろう おかえり、いってらっしゃい そ…

らまん
3か月前
2

ぐんぐん

進めることがある 野を駆け町抜け灯台へ 渡った先には何がある あなたにしか見えないもの 身…

らまん
5か月前
3

はずれた道にて

だから私は言ったんだ それは本当にあなたが進む道なのかと あの時、私は絶望していた 自分の…

らまん
5か月前
1

蛆虫

対話し続けると決めたんだ。 解決し続けると決めたんだ。 自他との対話をやめた時、彼は何者…

らまん
1年前

車に乗って

車に乗ってどこまでも。 車に乗ってどこまでも行ける気がしていた。 車に積んだベーコンには蛆…

らまん
1年前

覇道

覇気を感じる。 芽吹きを、生きる力を、連綿と続く空間に立ち現れる刹那の輝きを感じる。 嫉妬、尊敬。 理解、分析。 既知、疑問。 引きこもっていた頃、彼は何者でもなかった。 能動的にも受動的にも刺激の少ない生活の中で芽生えた感情。 書きたい。 自身の考えと対象者の考えを見比べたい。 そこに現れた境界線が彼になり、世界と関わる窓口になった。 そこから身を乗り出して世界を覗き込んだ。 途端に嵐がやってきた。 嵐が去るまで窓を眺めていた。 嵐は去らない。 彼は嵐の中の泳ぎ

報酬

彼らは争っている。 お互いの要求を体現するために、 あらゆる場面で争っている。 彼は知って…

らまん
1年前
1

群青

群青色の香り 三角に差し込む光を眺める 服を着たあの人はもうあの笑顔を見せることはない …

らまん
1年前

氷花

氷の上の一本道に 花を添えてくれたあなた きっとあなたが私に見ている温かさは あなた由来の…

らまん
1年前

海を飛ぶ

海では泳げばいいじゃない 空では飛べばいいじゃない 陸では走ればいいじゃない そういって私…

らまん
1年前

勇者

勇者が一度しか死を経験しないなら それはやはり肉体的な死であるとするのが凡人である 賢者…

らまん
1年前

祭りが終わった後 僕たちは繋がった 祭りのうちは 僕たちはお互いの構造を確かめ合っていた …

らまん
1年前
1

あちらでもなく こちらでもないもの 数直線上に表された質量を持たない点は メタファーの重なりによって定義されるらしい そこにはまだ何もなくて でも交わす言葉で見出された 面と面の間 線と線の交差 まだ質量を持たぬその領域に ベクトルを向け 同じ点を眺めていることを確かめ合いながら エネルギーを注げば カオスから湧き出すものもあるだろう あなたの輪郭と 私の輪郭が重なり合い 変化し合いながら それでも変わらぬ何かを見出していく 真理があると信じて その一点のみが揺るぎ