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つらい時こそ想像力を枯らさないで。

いつから世界はこんなに暗澹として混沌としてしまったのだろう。   

たった一枚の写真や、たった数十秒の動画に、毎日何万何十万もの称賛と罵詈雑言が投げつけられる。

自分はこんなに大変なのに、この人は楽しそうにしている。
自分はこんなに忙しいのに、この人はのんびりしているなんて。
自分はこんなにつらいのに、この人は笑っているなんて………

そんな感情が、手のひらの中からつながる世界中に渦巻いているように感じる。

確かに世界はこの数ヶ月で大きく変わってしまった。
世界中を重苦しい空気が覆い隠し、画面の中には世界中の惨状が休むまもなく流れ続ける。

でも、自分が大変だからって誰かのことをこてんぱんにやっつけていいわけじゃない。

たった一枚の写真、たった数十秒の動画、たった百文字程度の言葉を、
それがその人の全てだと信じている人が多いけれど、

切り取られた、作られた一瞬のその前後に想像を広げられる自分でいたい。

それは、息の詰まるような日々の中でようやくありつけた一杯のお茶だったかもしれない。

それは、死んでしまいたいほど苦しい気持ちの中で、なんとか前を向こうとつぶやいた一言だったかもしれない。

それは、押しつぶされそうな不安の中で大切な家族と過ごす心安らぐ僅かなひとときだったかもしれない。

それがどんな人であれ、どんな立場の人であれ、私達は肩書より前に
「ひとりのひと」なのだから。

自分がつらいからと言って、誰かのそんなわずかな時間を許せないなんて、そんなのなんだか虚しいじゃないか。

つらい時ほど想像力を枯らさないで。

世界は優しくないけれど、それでも世界は美しい。

そう思える世の中でありますように。

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