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本編 わ、私は……。 別に、アンタのことなんて。 何とも思ってないんだから! ○ 「……これ、めっちゃ恥ずかしいんだけど!」 「いや、ちょっと待て」 「……なによ」 「オレさ、さっき『エイプリルフールなんだし、せっかくだからウソついてみろよ』って言ったよな」 「そうね」 「……今の、ウソなの?」 「…………ウソに決まってるじゃん」 「……そうか」 「照れるな! こっちが恥ずかしい!」 「うるせえ! こっちのセリフだ!!」 後
――むしろ『超短篇小説』かもしれない。 っていうか、そうだね。 1000文字すら行ってないです。 『ヌーヴォーとヴィンテージ』 「んーっ! うぉいしーっ!」 「『うぉいしい』の?」 「そ。ただの『美味しい』との差別化、的な?」 食後のバニラアイスに舌鼓をうつ彼女の頬は、アイスよりもよく溶けていた。 お気に入りのそれは、乙女のなんとやらなどを考えた上で週3回を限度にしている。 毎日食べるよりも喜びが大きくなるらしい。 「なによ。その顔」 「なにが?
プロローグ: さながらUTOPIA(ただし続けるとは言ってない) 経年的な老朽化が見えながらも、整備はしっかりと行き届いている関節を、それでもギリギリと言わせながら飼い主の傍らを歩く『犬』。 そんな犬に向かって、シリコンカバーを付けてもらっている『犬』が吠えかけている。 天気も良い昼間の公園は、いつにも増して騒がしいように見える。 不思議に思ったが、よく考えればノイズキャンセリング機能が全開になっていた。 いつもの癖だった。 さすがに外でこれはマズいの
『マーガレットの悪夢』 「好き、嫌い……。好き、嫌い……。好き、嫌い……」 「……」 「好き、嫌い……。好き!! ボクのこと、好きなんでしょ!?」 「……いや。その結果が出るまで花をむしり続けるようなオトナは、ちょっと」 「そんな!」 「っていうか、ふつうマーガレットの花びらって奇数枚なんだけど。そんなに偶数のモノばっかり見つけるっていう、アンタの運の悪さもどうかと」 「それはさすがに理不尽!」 「それはアンタに毟られ続けた花のセリフだわ!」 あとがき い
ポイントカード・シンドローム 「いやぁ、得したー」 「何が」 「コレ買うと、今ポイント還元2倍だって言うからさ。この前から気になってたし、思い切って買っちゃったんだよね」 袋の中を覗けば、おそらくはメイクアップ用のアイテム。 ちょっとした機械っぽい代物だった。 「またポイントたまってきたしー。今度は何と引き換えようかなぁ」 ほくほく顔で袋の中身を見ているカノジョには、しばらくの間何も言わないでおこう。 さっと検索して、わかってしまった。 カノジョが買
『瑠璃色リップルズ』 「ソウスケくん」 「ん?」 「この水たまりには、あなたの願望が映し出されるのです」 「……いきなりどうした」 目の前には歩道を埋め尽くすくらいの大きさの水たまりが出来ている。 カスミの唐突かつ突飛な言葉に、ソウスケは呆気に取られる。 この少女は基本的にマジメなタイプだ。 もちろんマジメ一貫ということもなく、軽くふざけあったりはするけれど、こんな風にそこまでどこかに吹っ飛んだようなことを言う娘ではない。 舗装のがたつきが目立つ歩道
『夕景ユートピア』 互いの頬が紅いのは、きっとこの夕陽のせい。 互いの顔が熱いのも、きっとこの夕焼けのせい。 この世界には今、ふたりだけのように思えて。 互いの腕に力を込めた。 あとがき 今日の超短篇は画像を選んでから書くスタイル。 映像からのインスピレーションで書くっていうのも、楽しいモノです。 ところで。 シルエットの男女って、イイですよね。