【短篇小説】 『ベーリー・オクルス王宮廷の無愛想な猫』 【#猫の日】
ベーリー・オクルス王宮廷の無愛想な猫便利屋稼業
大きな河のほとりにあるこの街は比較的過ごしやすい気候だという。エアコンのような類いのモノなんて無くても楽に過ごせるという事実は、寒暖差に弱い俺としてはとてもありがたい話だ。流れ着いたのがこの街だったことは幸運だった。
そんなことを思いながら、俺は外を見ながら紅茶を楽しむ。
見た目はいわゆるハーフティンバー様式だが、その実態をざっくばらんに言い捨ててしまえば3階建ての雑居ビルのような建物。それがいくつも立ち並ぶエリア。