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ショートストーリー

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「愛」がテーマのストーリー。経験した仕事や訪れた場所から、頭に浮かんだことを、文字に起こしました。家族愛、夫婦愛、様々な愛がありますが、愛はいつの時代も、誰もが胸に抱く大切な想い… もっと読む
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記事一覧

忠臣蔵 外伝 『元禄兄弟』

時は江戸、 新六は、父母と兄の四人で暮らすも、その生活は苦しく、 幼き頃、里子に出された。 だが、養父母との折り合いが悪く、喧嘩を重ねては実家へ連れ戻された。 そのため、幾度も里親が変わった。 新六は、生まれながらにして、三日後が予知できる不思議な力を持っていた。 人前では使うなと、父から止められていたので、新六はそれを守った。 成長した新六は、能力を存分に使い、殿様の重臣にまで出世を成し遂げた。 ある時、敵の攻略を予言した新六は、見事に敵を討ち取り、主君より城を与えら

神さまのジャンプ

むかしむかし、そのむかし、神様は人間と同じ大地で暮らしていました。 神様は1日のほとんどを眠って過ごしました。 神様の起きている時間はとても短くて、せっかく人々がお参りに訪れても、 願い事を聞いてもらえずにいたのです。 やがて、国は乱れ、戦が起こりました。 「騒がしいのは嫌じゃ」 神様は、おうちごとジャンプして、お山へ引っ越しました。 「ここなら静かに過ごせるじゃろう」 神様は安心して、来る日も来る日も眠っていました。 人々は、いなくなった神様を必死に探しました。

デヤマン 〜金剛石〜

むかしむかし、江戸の日本橋で、 平賀源内さんが、珍しい石の展示会を行いました。 その石は、デヤマンといって、それはそれは美しく光り輝く青い石で、 見るもの誰をも、虜にしました。 デヤマンは、源内さんがオランダの商人から 3日間の期限つきで借りてきました。 展示会は大盛況。デヤマンの評判は、人から人へと、どんどん広がり、 沢山の人が展示会へつめかけました。 デヤマンを見に来たお客さんの中に、 六角とゆかりという泥棒の夫婦がいました。 二人はデヤマンを見て、すっかり心を奪わ