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寄稿者それぞれ 2/3

前回の投稿からすっかり日が経ってしまいました。。校正、製本作業、出荷を終え一息ついていたところで、16日からのアートブックフェアの参加準備をしておりました。アートブックフェアは本日最終日で、この企画に合わせて「サンプル帳S=1:2」というのも作りました!

さて、今回は、<川村そら、海乃凧、立石遼太郎>(敬称略)を紹介したいと思います。

川村そらさん

サラリーマン

どこまでプロフィールを書いて良いのか迷ったので、本に記載したままにしておこうと思います。川村さんは、私の芸大の友人がふらっと内覧会に連れてきてくれた方で、半麦ハットで初めてお会いしました。

川村さんの街との距離感が面白く、興味深いものがありました。半麦ハットの目の前には浜辺があるのですが、そこにしばらくいて、ずっと波を見ていて、ようやく建物に来たと思うと足は砂だらけ、井戸の水で足を洗っていいですよ、とタオルを差し出すところからやりとりが始まりました。
こういうやりとりは、店の営業時にはしばしば見られるのですが、内覧会では初めてで建物よりも周囲の環境に無意識的に動いてしまった様子がとても嬉しかったのです。

昼頃から来て、一度外に出て、また夕方ごろに戻って来てくれたのですが、そのあとはダイニングでゆっくりお茶を飲んだり、また浜辺に出て波を眺めたり、ここに前からいた人かのような振る舞いをされていました。

その後、私の知らない時(店も閉まっていたので母さえ知らない)に、半麦ハットを再び訪れてくれたらしく(その様子もテキストにあります)、私の知らない時間が半麦ハットに流れているを改めて実感しました。それは建築を計画するときの、施主が過ごす時間でもなく、日常的に前を通る近隣の人の時間でもない、触れることのできない時間。そのときの事柄には触れることはできないけれど、建築はそこにあること思い出し、ドキッとしました。

寄稿文タイトル
「半麦ハット」

海乃凧さん

小説家

二つ続けて、肩書きのみのプロフィールが並びましたが、こちらは小説家。まだ公の出版物は出されていませんが、一緒にやったプロジェクトに、私のモノ的なアイデアと海乃さんが書いた短編小説を合わせた「letters」というものがあります。(現在vol.2企画中)

今回の寄稿はジャンルを問わず募集していたので、是非小説で書いてもらえたら、と寄せていただきました。海乃さんは、現在開催中のブンゲイファイトクラブ2というプロアマ問わず参加できる文芸のコンペに参加中で、初挑戦ながら、予選突破&2回戦進出しています。
こちらに作品を貼っておきます。どちらも短編小説です。
2回戦作品「味幸苑(みゆきえん)
予選作品「ワイルドピッチ

海乃さんの小説は、地の文と図の文が良い意味で破綻していて、一体誰の視点なのか、時間はどうなっているのか、という混乱を招きます。今回の小説は、タイトル「ヌとユと小説」の通り、名前が「ヌ」と「ユ」という登場人物が出て来て昨夜もらったラブレターを探す、という流れなんですが、その中に別の事柄(思考や事実問わず)が入り混ざっています。詳しい中身は読んでからのお楽しみ、なのですが、、、

実際には、とてもわずかな時間に起こった出来事(想像)だとしても、言葉にしていくことですごく膨らみのある大きな時空間にすることができるのだな、と感じます。

寄稿文タイトル
「ヌとユと小説」

立石遼太郎さん

松島潤平建築設計事務所勤務。2014年、東京藝術大学院修了。
https://www.architecture-writing.com

立石さん。立石さんは、私が大学在学時代に大学院にいらっしゃったものの特に関わりがなく、ここ数年、特に半麦ハットをきっかけに知り合いました。修士制作が印象的で、昨年はウェブで連載をされていたり、建築を新しい語り口で論じており、読むたびに「やっぱり建築って面白いな!」という気持ちになってしまいます。(軽薄な表現しかできなくてアレなのですが、単純にひきこまれ、固着した建築思考に飽きた時に読むと明るい気持ちになれるのです)

そんな立石さんが半麦ハットを見に来てくれるなんて、嬉しい反面、どんな斬られ方をするのかと内心ドキドキしていました。そんな時、内覧後すぐに小論「感情という、見知らぬ建築」を書いてくださいました。是非読んでいただきたいのですが、建築に対して「感情」という言葉をつかってくださったことに衝撃でした。。

感情という言葉は、どこかダイナミックなものを想像させます。例えばタイタニックのエンディングのような、クライマックス的なもの。それに対してどちらかというと否定的だった私が、「感情」と評されることに驚き、読み進めると、私の想像していた感情とは全く逆の質感を持った意味だということに気づき、とても嬉しくなりました。
今回、収録されたテキストはこのブログを批評文へと書き換えたパラレルなものとして書いてくださいました。どちらが先でも構わないので、是非読んでいただきたいと思います。

あと、何よりも母がこの小論を読み、喜んでいたことが印象的でした。

寄稿文見出し
「《半麦ハット》に打ち寄せるものたち」
・ひとつめの比喩ー読むことと解釈すること
・ふたつめの比喩=生態系とコンセプト
・カケラ
・細部を語る
・生態系について急がず考える
・《半麦ハット》の生態系
・3つめの比喩

では

今回はこの3人とさせていただきます。
寄稿文の中間地点、テキストの形式が全く違うのを楽しんでいただければと思います。

次は最終5人を残していますが、今週中にはアップできればと思います!

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