たまには書いたものについて語らせてください

どうも皆様ごきげんよう。
物書きだって語りたい。
嵩音ルイです。

先日、リアルタイムボイスドラマの上演をやりまして。

今僕が進めている著作が『原典の勇者外伝-追憶勇譚詩』と言うシリーズものなんですが。

これですね。
興味がある方はぜひ。

ともあれ、今これを読んでいただいてる人の中で果たしてどれだけ僕の作品を見ていただいてる方がいるかはわかりませんが。

たまにはね。ちょっとあれこれ書かせていただこうかなって。

世の中にはいろいろな作品媒体があります。
漫画とか、小説とか、ゲームとか、いろいろ。
その中で敢えて台本という形式を取って、演者様を募って演じてもらう活動をしているわけでして。

ライブ感がね、好きなんですよ。
演者も、演出も、観客も。
みんなが同じ時間を共有して、同じ熱を高め合う。
それこそが楽しさなのかなぁと思ってます。これはこれだからこそ出来る表現だとは。

さて、そんなわけで数年単位で置いていた筆を再び取って書き始めたこのシリーズですが。

ただの過去話回収で終わるつもりは毛頭なくて、むしろ本編を書いていた時には想定すらしてなかった話をゴロゴロ書いてるので今更っちゃ今更なんですが。

今回、明確に意識したのは「過去にボツにしたネタと向き合う」ことと「今までやってきたセオリーを崩す」という2点。

それを今回意識的にやったのが、7話目の『恋は盲目、愛は強欲』と8話目である『ロッシュ限界をこえるまで』の二作です。

まず前者、過去に没にしたネタについて少々。

では7話について。
これに関しては放送中に話してはいたんですが「花嫁エレナ」の逸話と向き合った結果です。
難病の女性に恋をした医者が、その死体を持ち去って寄り添い続けたという話。
実際にあった話ですのであまり大それたことは言えませんが、これを知った当時はあまりの衝撃に、これをモチーフとして一本書けないものかと思案していました。

しかし上手くいかず、結局はボツにしました。
原典の勇者の世界観に寄り添ったもの、オリジナルで描いたもの、二つあったんですが二つともです。

そこに「神父とシスター」「命の恩人」という別の要素を足して、なんとか形にできたのが7話です。
まんまなぞるのではなく、自分自身の味付けを好きにすればいいんだぞと思い至るまでに2年かかりましたね。
その分、いい話になったかなと。

果たして、死した恋人を思って行動を起こした彼の愛は純愛なのか狂愛なのか。
その辺り、どう捉えられるものなのかなという興味もちょっとあります。

次に8話、これは「切り裂きジャック」と向き合ったお話です。
こちらは草案だけ書いて、面白くできなさそうなので葬り去ったメモ帳があった程度ではあるのですが、それでもいつかは向き合ってみたかったテーマです。

正体不明の殺人鬼。
しからば、その正体がどう在れば盛り上がるのか。

これもまんまモチーフをなぞるのではなく、あろうことかアラビアンナイト的な要素と混ぜ合わせて実現するというね。
今思えばすごい書き方をしたなぁと。

そして、二重人格という表現にも挑戦したのが8話です。

好きなんだ、ガンダム00のアレルヤ・ハプティズム。
温和な人格の「アレルヤ」と、猟奇的な人格の「ハレルヤ」が共存しているというところが、王道ながらも結構好きだったんですよ。

さながらジキルとハイドですね。

ただこの要素の面白いところは、実際に演じる方がいるというところ。
温和な人格と、殺人鬼の人格。
それをどうやって演じ分けてくれるのか聞いてみたくて、今回執筆に至ったところです。

いやぁ、すんごく良かった。書いてよかったよ、ってのは全ての台本で思ってますけどね?

そんなわけで、思いついて仕舞い込んでいたネタで皆様に熱狂を届けられたので感無量でございます。

そしてもう一つ、セオリー崩しについて。

ルイ鷹の台本は、僕が白鷹の書き方のテンプレートをそのままなぞっているのもあってほとんど同じ構成なんですね。

ナレーションは入れない。
地の文のような表現もしない。
全てを登場する人物に喋らせる。
話の締めとしてモノローグのような語りを入れてエンディングとする。

共通点としてはこんなところでしょうか。
多少形は違えど、ほぼ毎回この構成なのでルイ鷹形式に慣れている方は「いつもの感じ」だと思っていただけているだろうと。

僕がちょっと意匠を凝らしたのは「話の締めとしてモノローグのような語りを入れてエンディングとする」というところ。

7話も8話も、ここにちょっと工夫を入れてます。

まず7話。
そもそも今回の追憶勇譚詩は、全てオティスの仲間である僧侶フラウの手記が基になっているという設定です。
筆マメなフラウは日記を欠かさずつけていて、自身がいない間に起きた事件についても本人たちから話を聞いてなるべく精巧に書き残してます。

そういう背景がある上で7話を考えると、この話はフラウの知名度が格段に上がる回なんですね。
女神を信仰する教会の総本山で起こった事件の解決に一番尽力したのがフラウ、という伝わり方をしてしまうからですね。
そのせいでフラウになかなかな異名が付いてしまう、というのがオチなんですが。

ここまでの話を総括して、モノローグ的な文字列を書き留めてるフラウが、急に正気に戻って感情を露わにしてきたらめちゃくちゃ面白いんじゃないか?という。

普段は達観した視点でモノローグを語らせて終わるのですが、今回はフラウに途中で正気に戻ってもらいました。
ウケててよかった。ド滑りだったら立ち直れなかった。

で、8話。
わりと色んな媒体で恒例っちゃ恒例なんですが。

嘘エンディングをやりました。

ルイ鷹の形式に慣れている方であれば、良さみな音楽の中で締めに入りそうな言い回しが増え、挙句モノローグが挟まれば「あ、今日はここで終わりかぁ。いやぁ面白かったなぁ……」みたいなスイッチが入ると思うんですね。

そこでエンディングに入りそうな雰囲気をブチ切り、オティスたちが明かせなかった真実を明かすシーンを入れる。

身構えてなかったところに突然ぶち込むので、効果的に刺さるんじゃないかなと思ったんですよね。

ご協力いただいた演者様には事前にこの試みを話してまして、大層おウケになっておられてたのでそのままぶちかましていただきました。

いやぁ、惜しむらくはこの試みについて放送内で触れることを忘れてたくらいですね。
なので今これ慌てて書いてます。
面白かったと思っていただけていれば幸いですね。

というわけで、これからまだまだ原典の勇者シリーズは執筆を続けていく所存です。

乞うご期待。

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