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Ingressのストーリーライン(ゲームシナリオ)展開の変遷と脚本家

ゲームシナリオ

電ファミニコゲーマーからゲームシナリオに関する記事が出ていた。

タップ数に縛られていないであろう、かつキャラクターによっては現実世界の本物の俳優*1が配役されるIngressのストーリーライン(ゲームシナリオ)は異色だと感じたのと、『チェインクロニクル』や『Fate/Grand Order』などは基本的にはアプリの中でゲームのストーリーラインが進展するのに対して、Ingressはアプリの外、SNSやウェブサイトでストーリーラインが進展してきた経緯がある。

*1 例えば、1218世界のハンク・ジョンソンクリストファー・コーリー・スミスさん(詳細)、心理学を学ぶ大学院生ウェンディクリスティー・セント・ジョンさん(詳細)である。

変遷

Ingressでは2012年のテストプレイ段階から連綿と続くストーリーラインがアプリの外で展開されてきた。最初は「Niantic Project」というウェブサイトから始まり、

次第にGoogle+で展開されていく。

その後、Investigate: Ingressというウェブサイトが立ち上がる。

Investigate: Ingressは2020年4月8日時点でアクセスできないため、インターネット・アーカイブ上のデータを紹介している。
Investigate: Ingress上の記事はインターネット・アーカイブやファンサイト「PROJECT LYCAEUM」で確認できるが、アーカイブ資料として公式に復活する事を望む声もある。
現在、有志によってウェブサイトの復元作業が行われている(検索フォームは機能していない)。http://investigatexm.com/Backup%20Project/investigate.ingress.com/index.html

Investigate: Ingressの更新が途切れ、Ingress Primeが正式リリースされると、Ingress Primeの公式サイトで展開されるようになる。

※完全になくなったため、ウェブサイトの雰囲気だけでも感じてもらうためにインターネット・アーカイブ上のデータを紹介している。

その後、Ingress Primeの公式サイトでの更新が止まると、Redditでの展開が確認された。

Redditでの更新が止まると、Ingressフォーラムに設けられた「The Investigation」のカテゴリーでの展開が開始し、今日ではIngressフォーラムを中心にストーリーラインが展開されている。

脚本家

Ingressのストーリーラインの脚本に携わっているのは現在分かっているだけで、Niantic社CEOのジョン・ハンケさん、Niantic社クリエイティブリードのフリント・ディルさん、Niantic社ゲームクリエイティブのラザ・アハマッドさん、Niantic社で脚本の担当を務めるエメット・フューリーさんの4人。

【エメットさんの公式サイト】

【2017年1月、とても貴重なラザさんへのインタビュー記事】
ここではストーリーラインを考えるメンバーにハンケさん、フリントさん、ラザさんの3人が含まれている事が分かる。

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Google+上で共有された2017年1月の東京でのミートアップ時の様子。
左奥に立っているのはラザさん、手前左に座るのはフリントさん。
事前に寄せられたIngressのストーリーラインに関する質問に答えるセッションが行われた時の1場面。

フリントさんは1980年代のトランスフォーマーシリーズの海外アニメ作品や数々の海外作品のゲームタイトルの脚本などに携わってきた経歴がある。

【Googleの社内スタートアップ時代、2014年のジョン・ハンケさん(現Niantic社CEO)との登壇映像[英語]】

フリントさんとラザさんの2人は『Ingress: The Animation』のストーリーコンサルタントとしてオープニング映像に名前が登場している。

エメットさんはアメリカのモバイルストリーミングサービスのFictoで配信される「Ingress The Series」の脚本を担当している。

また、エメットさんは自身の公式サイトのポートフォリオにIngressを載せている。
2018年のアメリカのキャンプ・ナヴァロでのEpiphany Night(エピファニー・ナイト)*2で行われたリモート・パーティシペーション・エクスペリメント(RPE)*3を始めとするIngress関連のテーブルトークゲームの脚本や進行に携わった事が書かれている。また、Ingressのテーブルトークゲームのコアルールブックの出版に向けた執筆にも取り組んでいるという。

*2 関連するファンサイトの記事は以下の通り。なお、Epiphany Nightはドイツのシュロス・カルテンベルクでも行われているためそちらも合わせて紹介する。
Project Lycaeum Community Archives:
【キャンプ・イベント】エピファニー・ナイトまとめ1・キャンプ開始まで【啓示の夜】
【キャンプ・イベント】エピファニー・ナイトまとめ2:ポータル・ルミナンス・プロジェクト(シュロス・カルテンベルク編)【啓示の夜】
【キャンプ・イベント】エピファニー・ナイトまとめ3:ポータル・ルミナンス・プロジェクト(キャンプ・ナヴァロ編)【啓示の夜】
【キャンプ・イベント】エピファニー・ナイトまとめ4:リモート・パーティシペーション・エクスペリメント(RPE)【啓示の夜】
PROJECT LYCAEUM:
マグナス(2018)
*3 Ingressに関連するテーブルトークゲームの名称。関連するファンサイトの記事は以下の通り。
PROJECT LYCAEUM:
サーティンマグナス・リアウェイクン:ロールプレイング・ゲームに関する対談
LYCAEUM WRAP-UP:
【13MAGNUS Reawakens】ナヴァロ・キャンプイベント概要
Project Lycaeum Community Archives:
【キャンプ・イベント】エピファニー・ナイトまとめ4:リモート・パーティシペーション・エクスペリメント(RPE)【啓示の夜】

SNSで物語を展開する設計

なお、2015年3月に日本の京都で開催された「Digital Interactive Entertainment Conference(DIEC):a decade later and beyond ~デジタル・エンターテイメントの未来~」での「京都ゲームカンファレンス」のセッションではNiantic社のジョン・ハンケさん川島優志さんが登壇。ハンケさんからは、ゲーム内そのもので物語を語るよりも、SNSで物語を展開するデザインになっている事が伝えられた。

『また、ゲームと物語の融合も本作の重要なテーマだ。スマホユーザーは頻繁にアプリを切り替えるため、「ゲーム内そのもので物語を語るよりも、SNSで物語を展開する」デザインになっているとハンケ氏は語る(一方でわかりやすいトラディショナルな形式――マンガやノベルといった媒体でも物語は展開)。』
出典:ファミ通.com(2015年3月29日)「『Ingress(イングレス)』のコンセプトは“世界をゲーム盤に”――ジョン・ハンケ氏&川島優志氏が“DIEC”に登場」https://www.famitsu.com/news/201503/29075292.html, 2020年4月11日参照。

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