見出し画像

Night Watch

薄暗い夜道でのこと…


その日は思いのほか仕事がはかどらず
残業でけっこう遅くなった。
朝からの通し作業で、どっと疲れが出てきて
最後までやり遂げる気が失せてきた。

「この仕事、ここまで進めば、明日でもなんとかなる」
そう決めて帰ることにする。
気がつくとフロアのほかの人は皆退社していたようで
私もいくつかのルールである点検をして会社を出る。

画像4

暗く静かな夜は秋も深まり
冬の足音も聞こえてきそうなほど冷えるのですが
今夜は思いのほか温かい。
空に向かって大きくため息をつくと
呼気が少し白く舞い上がった。
面白がってハーハーしてると頭が軽く酸欠したw

画像1

時折、暗闇にカサカサとなにかの気配がする。
落葉が風に乗って遊びまわる音だろう。
季節の終わりに自由を得て楽しんでいるようだ。

駐車場までの道をひとりトボトボ歩く。
もっと近いとこにすれば良かったな。
でも総合病院が近くに移転したことで近場の月極めは値上げ傾向。
今借りているところと500円の差。
その差は大きいと思う。
それに今の場所は大雪時の除雪対応が早くて助かる。

画像2

ふと 背後が強い光で照らされた。
こちらへ車が近づいてくることが感じられた。

そのライトにあぶり出された
疲れて少しうつむき加減の私の影は
長く伸びて電信柱に留まり
向こうから私をうかがい、すぐ逃げた。

代わって柱の影が
時間を逆戻しされた時計の針のように回り始める。
潮騒にも似たタイヤの軽いノイズが耳に入ってくる…

画像3

その電柱までは10歩ほどの距離
そこが、このレースのゴール地点だ!
こうして私と背後の車とのバトルが始まった次第です。

画像5

そして

今日も私が勝った!(≧∇≦)b

敗北など知る由も無く
追い越していく前も後ろも目つきの鋭い車。

セコい勝利に酔いしれて
にんまり(*´ω`*)しながら
帰途を急ぐ

↑バカw

画像6

※この物語はノンフィクションであり、実在する個人・団体とはそこそこ関係することはありますが、特に明記してないです。