ブロール基礎のソ
1.あいさつ
みなさんこんにちは。
バーチャルプレインズウォーカーの重寝 累花です。
突然ですが、皆さまはブロールというフォーマットをご存じでしょうか。
MTGアリーナにも実装されており、禁止改訂でも多少触れられるので名前は知っているという方も多いかもしれません。
しかし実はこのフォーマット、MTGアリーナに実装されているにも関わらず、ルールについて学ぶ場が多くありません。
公式のルール説明はあるのですが、
MTGアリーナ右上のヘルプマーク→「マジックの遊び方」から公式サイトへ移動→フォーマットから「Brawl」を選択・・・とややこしい上に、MTGアリーナで遊ぶに際して必要な情報が少し不足しています。
というわけで、今回はブロールの基礎について書いていこうと思います。
・MTGアリーナでブロールを遊びたいが、よく分からない!
・そもそもブロールがどういうフォーマットなのか知りたい!
という方向けの記事ですので、よろしくお願いします。
2.ブロールって何?
ブロールは『ドミナリア』の発売と共に実装された、スタンダードとEDH(統率者戦)を融合したようなフォーマットです。
プレイヤーは伝説のクリーチャーorプレインズウォーカーを1枚選び、それを自分のデッキを統べる統率者としてデッキを組みます。
(3.統率者 以降の項目で詳しく説明します)
使えるカードプールは基本的にスタンダードに準拠します。
そのため、スタンダードを遊んでいるプレイヤーであれば今持っているカードを使って参戦することができます。
1vs1の対戦はもちろん、多人数(3人~)での対戦もできるフォーマットですが、MTGアリーナでは多人数戦は実装されていません。
また、スタンダードではなくヒストリックのカードプールを使用するヒストリックブロールは、60枚ではなく100枚で構築します。
よりEDHに近い雰囲気ですね。デュエル・コマンダーとも近いですが、プレインズウォーカーの統率者指定など異なる部分もあります。
今回はMTGアリーナに実装されているものに準拠した紹介をしたいので、1vs1での対戦を前提としてお話しします。
3.統率者
統率者は、ブロールのデッキにおける主役、ヒーローです。
プレイヤーはデッキを組むときに、伝説のクリーチャー、またはプレインズウォーカーを1枚、統率者として指定します。
(EDHと違い、プレインズウォーカーに"統率者として使用できる"のテキストは要りません。全てのプレインズウォーカーを指定できます)
統率者の固有色によって、デッキに入れられるカードに制限がかかります。(※4.固有色で説明します)
統率者はゲーム開始時(マリガンチェックより前)に公開され、統率領域に置かれます。
ゲーム中、統率領域にいる統率者は、それが手札にあるかのように唱えることができます。(※6.統率領域と統率者税で説明します)
↑MTGアリーナだとマッチング画面でも統率者が分かります。
自分の好きな統率者と共にブロールを戦いましょう!
4.固有色
ブロールでは、カードの色とは別に固有色というものを参照します。
固有色とはそのカード自体の色に加えて、テキスト欄にあるマナシンボル全てを参照した色のことです。
例えば《帰還した王、ケンリス》は白のクリーチャーです。
しかし、起動型能力のコストとして赤、緑、青、黒も含みます。そのため、ケンリスの固有色は5色全てとなります。
ブロールのデッキには、統率者が持たない固有色のカードを入れることはできません。(無色のカードはどのデッキにも入れられます)
採用できる土地も固有色のルールに縛られます。
ただし、統率者の固有色が無色だった場合は、好きな基本土地を1種類だけ採用することができます。
上で挙げたケンリスを統率者にした場合、5色全てを固有色として持つためどんなカードもデッキに入れられます。
3色のカードである《死の頂点、ネスロイ》も問題なく入れられます。
しかし、逆にネスロイを統率者にしたときにはケンリスをデッキに入れることはできません。
ネスロイの固有色は白黒緑の3色で、ケンリスは他の色(赤、青)も含むからです。
5.デッキ構築
ブロールのメインデッキは統率者1枚と、その他のカード59枚の60枚で構成されます。
59枚以下はもちろん、61枚や80枚、100枚で構築することはできません。
前述したように、統率者と異なる固有色を持つカードは採用できず、なおかつ基本土地以外のカードは1枚ずつしか採用できません。
《七人の小人》など、自身のテキストによって本来の枚数制限を破ることができるカードは複数枚採用できます。
また、サイドボードにカードを入れることはできません。
《願いのフェイ》などでゲーム外領域からカードを持ってくることは不可能となります。
【イニストラード 真夜中の狩りのリリース、ローテーションに伴い、相棒はヒストリック限定となりました】
唯一の例外は相棒です。
相棒が要求する条件を満たしていれば相棒をゲーム外領域(MTGAではサイドボード)に用意し、ゲーム開始時に公開することができます。
統率者もメインデッキに含まれ、相棒も固有色の縛りを受けるので注意してください。
ただし、デッキ枚数を増やせないため《空を放浪するもの、ヨーリオン》は相棒条件を絶対に満たせず、《呪文追い、ルーツリー》は2021年1月現在禁止カードになっています。
6.統率領域と統率者税
ゲーム開始時、統率者は統率領域という特別な場所に置かれます。
プレイヤーは、統率者が統率領域にあるなら、それが手札にあるかのように唱えることができます。
(※実際に手札にあるわけではありません。例えば、《原初の死、テジマク》の起動型能力を、統率領域から使うことはできません)
統率者が領域を移動するたび(手札に送還されたり、打ち消されて墓地に送られたり、墓地から追放領域に送られても!)、オーナーはその統率者を統率領域に戻すことを選べます。(戻さないことも選べます)
これにより統率者を何度でも唱え直し、戦線を維持することができます。
……ただし、タダではありません。
というのも、統率者を統率領域から唱えるたび、統率者税というものがカウントされていきます。
統率者を統率領域から唱えるには「それ以前に統率者を統率領域から唱えていた回数」×(2)マナの追加コストがかかります。
例として《世界を彫る者、ファイラス》を統率者にしてみます。
最初は、普段通り(赤)(緑)込み6マナで唱えることができます。
しかし、何らかの呪文によって破壊されて墓地に送られてしまったため、ファイラスを統率領域に戻すことにしました。
ファイラスをもう1度唱えるには通常のコストに加えて統率者税が2マナ、計8マナを払う必要があります。
これが繰り返されるたび、計10マナ、12マナ、14マナ……と、どんどん統率者税は重くなっていきます。
注意したい点として、統率者は領域を移動するたび統率領域に戻せるため除去にはめっぽう強いですが、コントロール奪取には無力です。
他にも、戦場に出ることは領域移動に含まれません。また、統率領域に戻さないことを選んだ場合は再び領域移動するまでそのままです。
《人質取り》に統率者を追放されたが、人質取りを除去できる用意があったので統率領域には戻さなかった。
しかし、除去を打ち消されてしまいそのままこちらの統率者を唱えられた……となった場合には、除去して手札や統率領域に戻すか、コントロールを奪ったりするしかありません。
気をつけましょう。
7.禁止カード
ブロールには独自の禁止リストが存在します。
(最新のリストについてはMTG公式などを見てください)
スタンダードでは禁止ですがブロールでは使えるカードや、逆にブロールでしか禁止されていないカードも存在します。
《真髄の針》や《翻弄する魔道士》などは後者の代表例で、統率者の名前を指定することで一気に機能不全に陥れることが出来るカードは殆ど規制を受けています。
ヒストリックブロールでも同様に独自の禁止リストが設けられています。
《創造の座、オムナス》など、スタンダード・ヒストリックの両方で禁止されているもののヒストリックブロールでは使える、といったカードもあります。
しかし、2021年1月現在、ヒストリックブロールの禁止リストは通常公開されていません。期間限定イベントでしかサポートされていないフォーマットであることが理由だと思われます。
※現在はゲーム中でカードにフォーカスした際に表示されるようになりました。また、100枚ヒストリック・ブロールが常設されました。
8.対戦ルール
・BO1
1本先取です。サイドボードもないので、当然といえば当然ですね。
ルール上設定できないのでフレンドマッチでBO3のようなことをやりたい場合には、工夫する必要があります。
・初期ライフは25点
通常の構築戦とは違い、ライフは25点スタートとなります。
《天界の語り部》など、初期ライフ総量を参照するカードを使用する場合は間違えないように気を付けましょう。
・フリーマリガン
ブロールでは、1度マリガンを行ってキープした場合でも7枚の手札をキープすることができます。
2度目のマリガンを行った場合、6枚キープになります。(通常の1回マリガンに相当)
要は、余計に1回マリガンすることができるということです。
これが極めて強力かつ便利で、「なんでもいいから除去を1枚持ってキープする」、「2マナのマナクリを持ってキープする」といったことがやり易くなります。
悪くない手札だけど、相手のデッキとの噛み合わせに不安がある……という判断ができるようになればブロール上級者です!
・マッチメイキング調整
MTGアリーナ固有の仕様です。
原文だと"Commander weighting system"と表記されているため、私は「重みつけ」などと呼ぶことが多いです。
ブロールの多様性を重視するため、競技的なデッキ(いわゆるトップメタ、Tier1デッキ)は競技的なデッキ同士で当たりやすくなるというものです。
過去には《ニヴ=ミゼット再誕》、《龍神、ニコル・ボーラス》が指定されていました。(スタン落ち後の扱いについては不明)
また、ヒストリックブロールで《創造の座、オムナス》がこの対象になったことが明らかにされています。
ただ、どのような仕組みで、どの程度、現在どの統率者が調整対象になっているかについての公表が一切ないため、効果については不明です。
人口の多い時は機能していますが、人が少ない時間帯は偏った当たり方もする印象です。
9.おわりに
如何だったでしょうか。
2021年9月、スタンダードのローテーションにより環境が大きく変動し、ブロールにも新たな風が吹きます。
デイリーミッションの調整に、息抜きに楽しいフォーマットですので、少しでもご興味を持って頂ければ幸いです。
最後に、Twitter、Youtubeの方でも活動をしておりますので宣伝させていただきます。
10.出典
BRAWL(MTG公式)
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