初級者向けの女流棋士の棋譜集がほしい

夏休み期間中、小学四年生と年長の姪にオンラインで将棋を教えました。

特に小学四年生の姪はテーブルマークこども大会オンライン夏対局に申し込んでしたので、夏休みに入ってから各1日30分程度を2週間程度でどうやって教えるかが課題でした。

以前、ねこまどの矢印付き駒『ドラえもんの小学校の勉強おもしろ攻略 はじめての将棋』『シナモロールとはじめる子ども将棋入門』をプレゼントしていたので、2人とも駒の動かし方は大体わかっていて、4年生の姪は棋譜が読めて、囲いの概念もわかっていました。

そこで1手詰めを毎日10問ずつ問いて、残った時間で矢倉を組む練習からはじめました。そのために、女流の先生の相矢倉戦の棋譜を探したのですが、なかなか見つかりません。できれば、観戦記、自戦記付きだと本好きの4年生の姪は楽しめるのではないかと思ったのですが、見つけれませんでした。

初めて手にする棋譜は印象が深いものなので、できれば女性の棋士の棋譜を渡したいと考えました。私は中学で将棋部の顧問に加藤一二三先生の棋譜を与えられて、駒組みを暗記するところからはじめました。矢倉の組み方は誰がやっても同じなので、男女にこだわる必要はないと考える方もいると思います。

しかし、将棋の世界は圧倒的に男性の数が多い世界です。そのなかで、将棋を続けていくには、はじめの印象に残るところで、できれば女性の棋士の棋譜を渡したいと思っています。女性が少ない中で、女性が将棋を続けたり、モチベーションを維持するには、女性のロールモデルが重要な役割を果たすと考えています。

スポーツ報知の女流名人戦や3社連合の女流王位戦については新聞に観戦記、自戦記は掲載されていますが、新聞をとっていないとそこにはアクセスできません。将棋世界の女流タイトル戦の自戦記、観戦記は女流トップが振り飛車党に偏っているので、なかなか居飛車の将棋を見つけられません。
最新の将棋年鑑も調べましたが3局あり全て伊藤沙恵先生の対局です。彼女矢倉の組み方はスタンダードではないので、できれば他の棋譜がほしいところです。

できれば、棋譜並べ上達法のような基本戦型のまとまった初級者が使える棋譜集や観戦記をまとめたもので、女流の先生の対局のものをピックアップしたものがあって欲しいと思っています。

入門書では女流棋士が執筆したものも見かけますが、初段前後を対象としたような本ではほとんど見かけません。最近印象的だったのは『里見香奈 イナズマの一手』や、石本さくら先生や加藤桃子先生が将棋世界の付録の定跡次の1手を執筆されたことでしょうか。

特に習い始めたころに読んだ将棋の本の執筆者の先生はいつまでも印象に深く残るものです。これからは、山口恵梨子先生のyoutubeで将棋を覚えて強くなる方も増えるのかもしれません。しかし、まだまだ書籍で学ぶ機会も多いと思います。女流棋士の先生が著者として本を出されることは、将棋の普及や裾野を広げる意味でも重要だと考えます。

そんな姪たちに、最近の白瀧あゆみ杯のアマチュア予選の写真を見せました。きれいな着物姿で対局する選手たちの姿は、彼女たちにはとても受けて、良い刺激になったようです。


将棋の世界の話をしてきましたが、私の業界(物理の研究)の状況はもっとひどいように思います。学術論文自体は男女比に比例した程度は見かけますが(女性比率自体もかなり低い)、女性研究者が執筆した物理の教科書はほとんど見かけません。すぐに思いつくだけだと2人だけ。逆に男性が著者のテキストは限りなく言えるほどです。エッセイや一般向けの読み物でも、女性研究者が書いたものはかなり少ない印象です。

文化が発展するには、ダイバーシティをすすめ、様々な形でその文化に参加する人々の裾野を拡げることが重要です。そのためには多様な人々が活躍している様子を具体的に見せていくことが重要だと考えます。


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