飛車落ち戦記~古森悠太五段

ねこまどオンラインで古森悠太五段に飛車落ちの指導対局を受けました。古森先生の指導対局は二回目です。前回は負けたので、なんとか一矢報いたいと思って対局に挑みました。

いつものように駒組みをして▲45歩と仕掛けた局面です。

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前回は古森先生が先に変化されて、繰り出した銀で玉頭を責められて負けたので、今回はどんな手で来られるのか楽しみにしていました。今回はこちらの望む形で受けてくださって、私が仕掛けたところです。

これまで、私のnoteでは▲45歩から仕掛ける順を書いていましたが、実はこの順は紛れやすく良くない順です。正しくは▲25歩と先に2筋の歩を突き捨て、△同歩▲45歩と仕掛けるのがわかりやすい順です。遠山先生のブログにもその順で書かれています。

上の図の局面で
△同桂
とされて私の手が止まりました。

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局面は動き出し、もはやゆっくりとした手が利かなくなっています。本譜はこれに対し、
▲同桂 △同歩 ▲22角成 △同金 ▲45銀 △44歩
と進み、もはや25歩の突き捨ては利かなくなりました。

もちろんこれで悪くなってることはまったくないのですが、手順前後で準備した局面に進めなくなり少し焦りました。
上図の局面で▲同桂と応じると上手に△37角と打ち込まれる隙きが発生するので、止まらずに攻め続ける必要があります。そのため、ここである程度の展開を読む必要があります。一方で▲同銀とする展開も駒損になり、角交換ののちに55角と打たれる筋も見えてゆっくりはできません。

参考までに、▲同銀と応じた場合も攻めは繋がり、例えば以下、△同歩▲22角成△同金▲同桂△42銀▲44歩△同銀▲56桂△55銀▲53桂成△同銀▲41飛車成といった展開が考え、銀損ながらも上手陣を突破できます。評価値は下手側に+1000程度です。

本譜の展開に戻ります。

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前述したように、もはや止まることができない局面になっています。勢い▲同銀と応じるよりありません。手順は、
▲同銀 △同銀右 ▲56桂 △53銀 ▲44歩 △32銀
と進みます。
途中、△53銀では△53銀打もあったようです。その場合は評価値+1000程度で、少しずつ押し込む難しい展開になっていました。

迎えた次の局面でチャンスが訪れています。

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ここでは▲31角と打ち込み、金を守る応手(△33角、△21金、△33金)には▲64桂で決まります。同じようでも、先に▲64桂△同銀▲31角とする展開には37角と切り返す手があります。先に▲31角とするほうがその後の寄せがわかりやすいと思います。

しかし、実際に私が選んだのは▲43角の打ち込みでした。この手が悪手で評価値は0付近まで落ちてしまいます。具体的には駒損の上に、△63銀▲52角成△同銀▲43金△61角と千日手模様で受け止められてしまい、攻撃の足が止まってしまいます。

実戦はその後攻めている展開がプラスに働き、勝勢で最終盤を迎えます。上手が△65桂打ちと勝負手を放ち、次の局面を迎えます。

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ここでの正着は▲同桂と応じ、△同歩には▲85桂、△99角成には▲85桂で、下手がわかりやすい勝ちになります。これはelmo囲いの69からの逃走経路が生きた展開です。実戦では上の図の局面で単に▲85桂としてしまい、△77銀▲69玉△47角に金を合駒請求されては上手玉に迫れなくなってしまい負けとなりました。

この局面では残していた持ち時間を9分以上投入したにも関わらず、読みきれませんでした。▲同桂は上手の言いなりになっているようで、以下の順をほとんど読めていませんでした。

冷静に考えれば、▲85桂△77銀以下の展開が見えなくても、▲65同桂とするほうが条件が良いことは次のように明白ですね。
・77への上手の桂馬が消える
・▲85桂と85の地点に先着することで、上手が桂馬を使う余地を消せる

大駒を切り飛ばしギリギリの攻めを繋げた良い終盤だっただけに、着地失敗は残念でした。

感想戦も仕掛け前後と終盤の検討に丁寧に付き合っていただきました。今回は負けてしまいましたが、定跡手順の理解が深まる良い機会でした。終盤も踏み込んで、勝ちのあるギリギリの展開で攻めることができたのは収穫です。
古森先生には連敗なので次回こそは。


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