飛車落ち戦記~対黒沢怜生五段
ねこまどオンラインにて、黒沢怜生五段に飛車落ちで指導対局を受けました。黒沢先生の指導対局を受けるのは二回目になります。
いつもどおり、遠山流の"elmo囲い+右四間飛車"で駒組みを進めますが、いつもとは少し異なった局面を迎えました。
この局面で下手がゆっくりした手を指すと、次に△65歩と突かれ、elmo囲いの弱点(玉の斜め前)を狙われる手が気になります。1手前に▲38金と上がって角の打ち込みに備えたこと、さらに上手陣の44の地点が通常より弱いことから、ここは仕掛けどきと考えました。
この局面から
▲45歩 △同歩 ▲同桂 △44歩 ▲33桂成 △同角 ▲45歩 △55桂
と進みました。
下手は▲45歩から仕掛けて角と桂馬の交換を狙いますが、下手は△44歩から角交換を拒否します。下手は再度の▲45歩から角交換を迫りますが、上手は55桂とクリンチにきます。
実戦ではここから
▲49飛 △45歩 ▲35歩 △同歩 ▲45銀 △44歩
と進みます。
▲49飛は上手の47歩のあたりを避けたものです。この手順の以降、私は▲25桂と打ちますがこれが疑問手で、単に▲56銀と引いておけば、下手900点程度でまだまだの将棋でした。
ただし飛車落ちの初期局面の評価値程度に戻ってしまうようではあまり面白くありませんでした。
AIによると上記の局面では、▲49飛に変えて▲55同銀と桂馬を取ってしまうのがわかりやすかったようです。以下、△同歩▲同角と捌き、△54金と抑え込みに来られた場合は▲44角と出て、△同銀▲同歩△同金▲56桂△43歩▲44桂△同歩と進めます。このあとは、▲55銀〜▲56桂と44と64の地点に駒を足しながら攻めれば、わかりやすく優勢が拡大します。
実戦は、少し進み次の局面を迎えます。
この局面で実戦は
▲63銀成 △同銀 ▲11角成 △36歩
と進めました。
局面がさっぱりしてしまい上手陣への寄せの手がかりが消えて、下手にとってわかりにくい局面になっています。それよりは▲63銀成にかえて▲22角成として、△53金と銀を取りに来る手には▲23馬△54龍▲61銀△同金▲同銀△同玉▲45金△54龍▲24馬とすると、上手玉は薄くなり攻撃の手がかりも残るので戦いやすかったと思います。
局面はさらに進み最終盤を迎えます。次の局面はちょうど終盤次の一手のような局面になりました。
下手玉には詰めろがかかっています。難しいですが上手玉は詰みがないと考えた場合は、あとはどのように詰めろを解除するかを考えればよい局面です。
感想戦で教えて頂いたのは、
▲63金△同玉▲54銀△52玉▲53銀成△41玉
と進めて、
▲52銀△31玉▲34香△21玉
とする手順です。
あとは、▲54馬から76銀の馬を抜いてしまえば、自玉は安全になり、相手玉はほぼ必至なので簡単な勝ちでした。途中、△41玉で△61玉は▲52銀△72玉▲63成銀とすれば影になっていた馬が働きちょうど詰みます。対局中はこの詰みも見えていませんでしたが、すこし明瞭さには欠けますが▲43馬から△76銀を抜いて勝つ順がありました。
上記の局面をAIで調べているとこの順を示していたのですが、局面をすすめるとAIは詰みがあることを示しはじめました。
前述の△41玉に対して▲53銀からの手順に代えて、
▲42香△同角▲同成銀△同玉▲33桂成△51玉▲42角△61玉▲52銀△72玉▲63銀成△82玉▲71馬△同玉▲72金
でピッタリ詰みます。途中、△61玉で△41玉は▲32銀から早詰みになります。
というわけで、上記の局面は21手詰めでもありました。
実戦ではいずれの手も選べず、中途半端に受けにまわり、
▲88香 △68龍 ▲66金 △67桂成
で詰んでしまいました。
詰みを読みきれないと感じたときに攻防手を探すよう、頭の切り替えができなかったことが本局の反省点です。
また、この記事の最初の局面は上手の変化としては有力な局面の一つと思います。elmo囲いは堅い上に早く仕掛けに移れる一方で、仕掛け前にこれ以上の発展性はありません。その上、△65歩からコビンを狙われる可能性を考えると、下手は仕掛けるタイミングですが、他の上手の手順に比べても下手側が評価値を稼ぎにくい局面であると思います。