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【妄想話】 太郎・1話

「太郎・第1話」

前編

むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川で洗濯をしてました。
すると、川上から大きな桃がドンブラコ、ドンブラコと流れてきました。
大きな桃です。
おばあさんが今まで見たことがない大きな桃でした。
それぐらい大きな桃でした。
どれくらい大きいかというと、両手を広げて‥もっと広げて‥顔を上げて‥洗濯物を川に放り投げて‥とにかく大きな桃でした。
放り投げた洗濯物が絡まった大きな桃を川岸に寄せて、家から持ってきたリアカーに乗せようと持ち上げようとしましたが、重くて無理です。
山から降りてくるおじいさんに手伝ってもらうことにしました。
しばらくすると、おじいさんが山から降りてきました。
その姿を見つけるや否や、おばあさんは大きな声でおじいさんを呼びます。
「おじいさんや〜。じいさん〜。」
おじいさんは立ち止まり、呼ぶ声の方を振り向きます。
しかしすぐに家に向かって歩き始めます。
「なんで? おい、じいさんや〜。」
流石におじいさんも気付いて、おばあさんに近づきます。
「ばあさんや。わしを呼んだ?」
「呼んだ呼んだ。周りあんたしかおらんじゃろ。
じゃなかったら、1人で奇声をあげてる変なおばあさんじゃ。」
「元から変なおばあさんじゃろ。」
「誰がじゃ。蹴飛ばすぞ。」
「で、わしに何のようじゃ?」
「おお、そうじゃ。この大きな桃を一緒に持ち上げてほしいのじゃ。」
「大きな桃じゃの。‥んっ?」
「どうしたんじゃ?」
「この大きな桃‥」
「桃がどうした?」
「パンティー被っとるぞ。」
「そ、それは‥」
「しかもわし好みのパンティーじゃ。」
「わたしが川に放り投げて桃に引っかかったのじゃ。」
「なんじゃ、ばあさんのか。」
おじいさんは桃が被ってたパンティーを取り、自分の鼻に近づけます。
「くっさ。」
「蹴飛ばすぞ。そんなことより、この桃をリアカーに乗せるの手伝っておくれ。」
「わしは今、お腹がペコペコで家に帰って何か食べたいんじゃ。」
「うるさいこのハゲ。いいから早く乗せろ。」
「はいっ!」
こうして2人は大きな桃をリアカーに乗せて家に
帰っていきました。

つづく

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