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あの路地裏に久しぶりに帰ってきた。もう20年近く昔の話だ。当時、ランドセルを背負って小学校から帰っていた僕たちは、いつも夕飯時に何処かから漂ってくる匂いにお腹を空かせて、今日の夜ご飯なんだろうね、なんて毎日のように言っていた。

懐かしいなあ。思わずそう口から溢れた。

オレンジの夕日が差し込んできて、やけに眩しい。さっきやってきた夕立が作っていった水溜りには、無邪気な笑顔を浮かべた僕たちが映っているような気がした____。

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この文章を読んで思い浮かべる風景や、感覚、それらは全て人それぞれ違う。絶対に。できるだけ私が思い描くものを細かく描写したつもりだけど、私とあなたとでは違う。

それが文章の面白さであり、私が文章を好きな理由のひとつ。映像を共有しない限り、思い描く状況が一致することなんて絶対にない。(映像を共有したところで人それぞれ注目する箇所が違ったりするのだから映像も絶対的ではないとは思うが)絶対的に共通している「文字」を介して数多にも及ぶ状況が想像され、解釈がなされる。そこが1番の甘味なんだ、私にとっては。作者が私に言いたいことは違うのかもしれない、と思いながらも私は私の受け取り方で、私の感受性を信じて今日も活字を。

活字は素晴らしい、私の夢


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