”ラグビーインド代表監督で得た学び” #5 言葉の壁を超えてゆけ
日本ラグビーフットボール協会公認 S級コーチの神宮寺です。 今回は2018年にインド代表監督としてアジア選手権に出場した際のスペシャルな経験から得た学びを綴りたいと思います。私がコーチとして得た学びが皆さんのコーチングを豊かにするお手伝いができたら幸いです。
監督として最初に取り組んだこと
目的を達成する為に、目標/ゴール設定をチームでシェア をすること。
まずはココが決まらないと評価することも振り返りすることも出来ないので、道筋はしっかり決めてからスタートするのがいい。
そして、自分を知ってもらう為に、最初に自分をさらけ出すこと。
相手を知る為に、全員と対話をすること。
とにかく、練習前、練習後、すべての時間を選手との対話に使い切った。
言葉の壁を越える
話をして知ったこと、それは主な勢力図として、国内NO1チームの「デリハリケーンズ」と「自衛隊で構成されたラグビーチーム」の出身が多いことがわかった。あとは各地方から精鋭たちが集まってきたような感じだ。
インドは、言わずと知れた多民族・多宗教・多言語国家と言われていて、国で定められた言葉でさえ20種類以上、州や地域によって7000以上の言語が存在すると言われています。 公用語はヒンディー語なんだけど、選手同士でも「あれ?言葉通じてなくね?」みたいな事が多々あったのです。
ビジネスの現場と違って、この現場では、ネイティブレベルに英語を喋れる人は数名、インド英語、俗言う ”ヒングリッシュ” が半数、他半分は、ヒンディー語中心なんだけど、北インドと南インドでは言葉がちょっと違うんだろうなぁという感じだった。 詳しくは知らんけどね。
とにかく、インドは簡単にひとくくり出来ない多様性のある国なんだよね。
気合い・愛嬌・ハッタリ 英語が公用語
私は英語が大の苦手なんだけど、
そこは 気合い・愛嬌・ハッタリ +工夫 でカバー してみた。
インドまできてしまえば、なんとでもなる。
(いや、なんとかなったが正解か)
そもそも喋らないとスタートラインに立てないし、喋れないからといって彼らはその行為を笑ったりせず本気で向き合ってくれた。
言葉の壁を越える気合いと工夫とは
その1:徹底的な準備
今日練習する内容、目的、ゴール、想定できるミス、評価ポイント、それらをノートに英語で書き起こして、脳内シュミレーションを繰り返す。
*インドで使用したRUGBYノートはいづれ公開予定
その2:説明の簡素化
イメージの共有が出来るように、図に書いて説明をする。
そして一緒にホワイトボード上のマーカーを動かしながら意思疎通を図る。
その3:ラグビーIQの高い選手への仕込み
英語も得意、ヒンディー語も得意で、ラグビーIQの高い選手のグループ(リーダーグループ)を作って、練習前に練習内容を仕込む。
伝わらないところは、英語とヒンディー語を駆使してチームにコーチングをしてもらう。
その4:事前に練習資料の配布
まずはインド代表キャンプの強化プランを資料で配布、その後は、練習の詳細をLineで共有する。(ITリテラシーは日本より高いかも?)
その5:練習参考動画のシェア
日本にいる仲間の協力があってこそだが、練習の見本動画を日本で作ってもらって、練習前にシェア。 日本にいるラグビー留学生の動画説明書付き。
(これが良かったかも) 本当、日本のコーチ仲間には助けられた。。
その6:ヒンディー語を覚える
彼らとの距離を縮めて耳を傾けてもらうには、現地の言葉を使うのが1番。
最初から最後までずっと笑われていたけど、効果は抜群だった。
その7:逆に日本語を仕込む
色々な言語が飛び交っているので、こっちも日本語で喋ってみる。
意外とそれが彼らとのコミュニケーションTOOLになったりもした。
コーチングの方も、合宿の最後には日本語でやっていた。
一瞬ブームになったのが、「ごめんねごめんねー」なぜかは知らんけど。
*他、チームのジャーゴンになった言葉は別の機会に公開予定
その8:熱意のゴリ押し
最後は熱意、ボディランゲージでも一緒にプレーをしてみるでも、伝えたい思いがあれば何とでもなる。(たぶん)
画像は、仲良く腕を組んでるわけではなく、スクラムのポイントをコーチングしている時のもの。
試行錯誤で言葉の壁をこえ、強化計画を進めていくのであった。
<学びのまとめ>
●相手を知る為に、最初に自分をさらけ出す
●気合いと工夫があれば言葉の壁は越えられる
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