ある日のこと。

連絡がなくなってから、いくらの月日がたったろう。
自分は相も変わらずに暮らしていけてるし、相手もきっとそうだろう。
子供はどうしたのだろうか。結局なにもわからないままだ。
「妊娠したかもしれない」
その文面だけでは、相手が何を伝えたかったのかわからなかった。
結婚しようと言うべきだったのか、病院に一緒に連れ添うと言えば良かったのだろうか。
まだ若い彼女のことだから堕ろす費用を出せということだったのだろうか。
悩んでいる間に次のメッセージが届く。
「二度と会わないから」
それは子供は自分の子ではないからなのか。
自分に迷惑をかけない為なのか。
相手の表情も、声のトーンも、醸し出す空気感も、文字だけでは一切わからない。
連絡手段は途絶え、誰を経由しても相手に繋がることはなかった。
元気に暮らしているのだろうか。
もし妊娠が嘘でなくて産まれているなら、子供との関係に嫌気がさしていないだろうか。
あの頃若かった二人も、いまでは「いい歳した大人」だから、もう誰も頼ることができないのではないのだろうか。

暗く、冷たい夜になると、考えてしまう。
もしあのとき、そう考えると今の自分から逃げれるような気がするのだった。

隣には愛したはずの女房が、寝息をたてているのに。

まだまだ未熟でありますが、精一杯頑張ります