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美しい動き

おはようございます。小田伸午先生の「一流選手の動きはなぜ美しいのか」を読み終わりました。そのことを少し書きます。

高校の課題解決学習で「二軸動作」をテーマに授業を展開しました。答えのない課題に、生徒たちは自分たちで仮説を立て、様々な方法で検証しました。人間の知的好奇心を高める素晴らしい取り組みでした。

関連する図書も購入していただいたのですが、勤務しているときは中々読めませんでした。自分で購入して、やっと読了。

私たちは、様々なことに、経験則や、思い込みがあって、本来のヒトの動きというものを行っていない、また、まちがった認識をしていることがあるようです。

例えば、立った状態から前に動き出す場合、(立った状態から右足を1メートル先の地点に素早く一歩を踏み出す。)あなたは次のどちらのタイプでしょうか。
①支持脚の左足につま先に荷重してつま先で体をけりだして、右足を前に踏み出す。
②支持脚の左足のかかとにに荷重して体を押しだして、右足を前に踏み出す。

いかがでしょうか。右足を素早く踏み出すには、支持脚左足のつま先で蹴ると思うのが普通だと思います。しかし一流の選手の動きは、②です。

右足を一歩前に進めるときは一瞬左かかとに荷重を感じ、左足首と左ひざを一瞬のうちに屈曲させて右足を前に踏み出すようなイメージです。少し体を沈み込ませるような感じで、前に進みます。

かかとに支持点があり、重心が支持点より前にある場合、静的バランスが崩れます。静的バランスが崩れ、動的バランスに移動します。

膝を抜く、かかとを踏む、このようなことで、バランスを崩して、動作を起こす。これが、素早い動きができるコツです。

「一流選手の動きはなぜ美しいのか。それは力感がないからです。ゆったりとした動きに見えて、速いのです。その動きは、頭で考えると逆の動きでわれわれの無意識の動きの中に潜んでいる自然な動きです。自分の中の一流が出たときに、動作は格段に美しくなるのです。」
このように、小田先生は書いておられます。力感のない動き。良い響きです。

私が学生の頃、今からっざっと40年位前ですが、そのころから、ウエイトトレーニングが本格的に導入されてきたと思います。どんどん、科学的なトレーニングが導入されてきました。

ウエイトトレーニングもよいのですが、力がつくと、ついつい、動作に力みが入りますよね。筋力がついたので、発揮したくなります。でもそれが素早い動作を阻害していることもあるのです。

右足を一歩前に素早く出すのも、左のつま先荷重で「蹴りだす」筋力で蹴りだすのが早い、と思ってしまいますよね。それよりも、力を入れずにバランスを崩して、動きをつくる。これです。

今や、ウエイトトレーニング信仰はおおきなものがあるように思います。ウエイトトレーニングさえしておけば、体を大きくさえしておけば、勝利に近づく。ある意味、正しい。昔のラグビー日本代表も体格差に苦しみました。今は、違いますが。

でも、ウエイトトレーニング、筋力信仰に頼らない勝利へのアプローチも、あるのではないか。この二軸理論はそれではないかと思います。

小田先生は、この本の中で、かつての日本のきものの生活や、草履、わらじの生活が「なんば」の動きになっていた、と書かれています。

小よく大を制す、実現したいものです。

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